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空の検索で1573件の結果が見つかりました。

  • 2027年グラミー応募シーズン終了後に見る、新カテゴリと日本勢の入口

    2027年グラミー賞のオンライン・エントリー期間が終了し、いよいよ審査とノミネーションへ向かう時間に入った。今回の注目は、新設カテゴリの存在と、アジア言語圏の音楽がどのように国際的な評価軸へ接続されるかだ。日本のアーティストにとっても、情報整理と準備の精度がこれまで以上に重要になる。 OEP終了後に見るべきポイント Recording Academyによると、2027年グラミー賞のオンライン・エントリーは2026年7月7日に始まり、8月21日に締め切られた。対象期間は2025年8月31日から2026年8月28日まで。ここから作品提出の整理、投票、ノミネーション発表へと進んでいく。 新カテゴリが広げる入口 2027年からはBest Asian Pop Music Performanceなど複数の新カテゴリが加わる。K-pop、J-pop、C-popなどアジア言語圏のポップ作品に明確な評価枠が生まれることで、日本の音楽にとっても国際的な説明力と資料整備がより重要になる。 日本勢が準備すべきこと 楽曲、映像、クレジット、リリース日、権利関係、英語プロフィールを揃え、海外の審査者や業界関係者が短時間で理解できる状態にしておくこと。GAJでは、グラミー情報を日本語で追いながら、国内アーティストが世界基準の文脈へ接続するための知識を蓄積していく。 今後のタイムライン ノミネーション発表は2026年11月16日、第68回グラミー賞授賞式は2027年2月7日予定。応募が終わった今こそ、次の発信、資料整理、国際展開の準備を始めたい。 関連GAJ記事 https://www.brushmusic.com/post/2027-grammys-online-entry-oep-deadlines-artist-intent https://www.brushmusic.com/post/daft-punk-random-access-memories-2014-grammy-album-of-the-year GAJ GAJ メンバー登録: https://www.brushmusic.com/artist/categories/gaj-members 出典 https://www.grammy.com/news/2027-grammys-how-submit-music-guide/ https://www.grammy.com/news/2027-grammys-new-categories-rule-updates/ https://www.grammy.com/awards/categories/best-asian-pop-music-performance/

  • レコーディングスタジオの選び方|制作内容から逆算する5つの判断基準

    音源をつくるとき、どのスタジオで録るかは仕上がりを大きく左右します。ただ、スタジオ選びを「機材が良いかどうか」だけで判断すると、たいてい後から食い違いが出ます。先に決めるべきなのは、何を録るのかです。この記事では、制作内容から逆算してスタジオを選ぶための判断基準を、株式会社BRUSH MUSIC の制作現場の視点で整理します。 スタジオ選びは「制作内容」から逆算する バンドを一発録りするのか、ボーカルだけを重ねるのか、トラックメイクの延長でボーカルを差し込むのか。この3つはまったく別の作業で、必要な部屋も機材も変わります。ドラムを生で録るなら天井高と鳴りのある部屋が要りますし、ボーカルとラップだけならブースの遮音と、マイク・プリアンプの選択肢のほうが効きます。 逆に言えば、制作内容が決まっていない状態でスタジオを探し始めると、比較する軸そのものが定まりません。曲の構成、参加メンバー、録音するパート、納品形態(配信用マスター、映像用、カラオケ音源など)を先に固めてから探すほうが、結果的に早く安く着地します。 押さえておきたい5つの判断基準 1. 録るものに機材が合っているか 見るべきは機材の新しさではなく、自分の音に合う選択肢があるかどうかです。ボーカル録りが中心なら、コンデンサーマイクが複数から選べるか、プリアンプの系統がいくつあるかを確認します。ドラムやアンプを録るなら、マイクの本数とスタンドの数が足りているかが先に効きます。DAW は自分の作業環境と揃えられるか、セッションデータをどの形式で受け渡せるかも聞いておきます。 2. 部屋の広さと音の響き バンドの同時録音やアコースティック楽器なら、広さと部屋鳴りが音の質を決めます。逆にソロのトラックメイクなら、大きな部屋よりもモニター環境が整っているかのほうが重要です。遮音だけでなく、空調の音がマイクに乗らないか、長時間いても疲れない環境かも確認しておきたい点です。 3. 料金の内訳がはっきりしているか 時間制かパッケージ制か、エンジニアの人件費が含まれるか、機材レンタルや深夜帯の割増が別建てか。ここが曖昧なまま押さえると、当日に追加が積み上がります。見積もりは「録音・編集・ミックス・マスタリング」のどこまでを含むのかを、工程ごとに分けて出してもらうのが確実です。 4. エンジニアとサポート体制 同じ部屋・同じ機材でも、卓に座る人が変われば仕上がりは変わります。自分のジャンルの経験があるか、過去の音源を聴かせてもらえるかを確認してください。エンジニア指名ができるスタジオもあります。初めての録音なら、進行を組み立ててくれる人がいるかどうかが、当日の消耗を大きく左右します。 5. 通い続けられるか 1曲を仕上げるまでに、スタジオへ行く回数は想像より増えます。機材の積み下ろしがしやすいか、深夜まで押しても帰れるか、メンバー全員が集まりやすいか。移動の負担は制作のペースにそのまま跳ね返るので、条件が拮抗したときはここで決めて構いません。 料金はどう見ればいいか 料金はスタジオごとに幅が大きく、相場を一律の数字で語ることに意味はありません。比べるべきなのは金額そのものではなく、料金の組み立て方です。 時間制:短時間で終わる作業に向く。押した分だけ増えるので、進行の見通しが立っていることが前提。 パッケージ・1日貸切:バンドの同時録音や、複数曲をまとめて録るときに向く。 工程ごとの見積もり:録音・編集・ミックス・マスタリングを分けて出してもらう形。どこを自分でやり、どこを任せるかを調整できる。 複数人で使う場合は一人あたりの負担が下がりますが、割り方は事前に決めておいたほうが後腐れがありません。深夜割増、機材レンタル、データ納品の手数料など、別建てになりやすい項目は先に洗い出しておきます。 見学で必ず確かめること 写真と料金表だけで決めないほうがいい理由は単純で、音は行かないと分からないからです。見学を受け付けているスタジオは多いので、候補が絞れたら実際に足を運びます。 そのスタジオで録った音源を、コントロールルームのモニターで聴かせてもらう ブースで手を叩いて、部屋の響きと残響を自分の耳で確かめる 空調を入れた状態でのノイズを確認する 当日の進行を誰が仕切るのか、データはどの形式で受け取れるのかを聞く 制作の相談から受けています 株式会社BRUSH MUSIC では、作曲・編曲からレコーディング、ミックス、マスタリングまでを一括で対応しています。「どこで録るか」の前段にある「何をどう仕上げるか」から一緒に組み立てられるので、スタジオ選びで迷っている段階でもご相談いただけます。詳しくは SOUND CREATIVE をご覧いただくか、お問い合わせ からお声がけください。

  • Daft Punk — 2014年 Album of the Year / 人間の手触りで電子音楽を再発明した『Random Access Memories』

    Daft Punk『Random Access Memories』は、電子音楽が巨大化していく2010年代に、あえて人間の演奏、スタジオ録音、ディスコとソウルの記憶へ戻ったアルバムだった。2014年の第56回グラミー賞でAlbum of the Yearを受賞した意味は、単なるヒット作の勝利ではない。覆面の二人が、匿名性、職人性、ポップスターとの共作、音の質感まで含めて、現代音楽の“未来のクラシック”を提示した出来事として読むことができる。 背景: ロボットの仮面とフランス発の世界標準 Daft PunkはThomas BangalterとGuy-Manuel de Homem-Christoによるフランス・パリ出身のデュオ。1990年代にフレンチハウスの象徴として登場し、『Homework』『Discovery』でクラブミュージックとポップカルチャーの距離を一気に縮めた。ロボットのヘルメット、顔を見せないブランディング、アルバムごとに変わるビジュアル設計は、音楽だけでなく“世界観そのものを売る”という発想を早くから完成させていた。 2010年代前半はEDMがフェスとチャートの中心へ進んだ時代だった。しかしDaft Punkは、最大音圧やドロップの快感ではなく、演奏者の手触り、テープの温度、空気を含んだドラム、ギターのカッティングへ舵を切る。『Random Access Memories』は、流行に乗ったというより、流行の速度を一度止めて“音楽はどこから来て、どこへ戻れるのか”を問い直す作品だった。 受賞経緯: 『Get Lucky』からAlbum of the Yearへ 第56回グラミー賞でDaft Punkは、『Random Access Memories』でAlbum of the YearとBest Dance/Electronic Albumを受賞し、Pharrell WilliamsとNile Rodgersを迎えた『Get Lucky』ではRecord of the YearとBest Pop Duo/Group Performanceを獲得した。Grammy公式のアーティストページでは、Daft Punkの受賞6回、ノミネーション12回が確認でき、同作がキャリア最大の評価点になったことがわかる。 Album of the Yearは、その年の楽曲単体だけでなく、アルバム全体の達成度、演奏、制作、エンジニアリング、ソングライティングを含めて評価される賞である。『Random Access Memories』は、クラブ・ミュージック由来のデュオが、アルバムという古典的な器を使って、ダンス、ファンク、ロック、映画音楽、ソフトロックの記憶を一枚に束ねた作品だった。 制作思想: 未来を作るために過去へ戻る このアルバムの核心は、最新技術を誇示することではなく、音楽制作の“人間的な誤差”を美しく鳴らすことにあった。Nile Rodgersのギターは、ディスコの歴史を現在へ運び、Pharrell Williamsの声は、ポップの親しみやすさを与えた。Giorgio Moroderの語りは、電子音楽の祖先から未来への手紙のように響き、Paul Williamsの参加は、70年代のソングライティングの深みを作品に持ち込んだ。 Daft Punkは機械のアイコンでありながら、最終的には人間の演奏を信じた。これは日本のクリエイターにも大きな示唆を与える。AI、DAW、サンプル、プラグインが進化するほど、最後に差が出るのは“なぜその音にするのか”という編集思想である。便利さを使いながら、音の人格をどう残すか。その問いは、2020年代以降の音楽制作にも直結している。 代表楽曲: 踊れるのに、聴き込めるポップ 『Get Lucky』は、シンプルなギターリフと歌の反復で世界中のリスナーを巻き込んだ。派手な展開を抑えながら、グルーヴそのものを主役にした楽曲で、クラブでもラジオでも成立する強さがある。『Lose Yourself to Dance』では、同じくPharrellとNile Rodgersを迎え、身体を動かすことの原始的な喜びがより濃く出ている。『Instant Crush』ではJulian Casablancasの声がロボット的な加工と切なさをまとい、アルバムの情緒面を支えた。 日本接点: 匿名性、映像性、職人性の強さ Daft Punkの成功は、日本の音楽シーンにとっても読みどころが多い。顔を出さない、物語を先に立てる、映像と音を一体化させる、コラボレーターを作品世界に組み込む。これらは日本のアーティストやプロデューサーが得意としてきた領域でもある。Perfume、CAPSULE、サカナクション、Corneliusのように、音楽、デザイン、映像、テクノロジーを横断する表現は、海外市場でも説明可能な強い文脈になる。 同時に、グローバルで届くためには、音源だけでなく“どのような物語として紹介されるか”が重要になる。Daft Punkは、二人の素顔を隠すことで、逆に音楽と世界観を前面に出した。これはアーティスト写真、MV、インタビュー、ライブ演出、SNSのトーンまでを一つのブランドとして設計する発想であり、GAJが日本の音楽業界へ伝えたい大きなポイントでもある。 GAJ視点: 賞を狙う前に、作品の入口を設計する GAJがこの受賞から学ぶべきことは、“グラミー向けの音楽”を作ることではない。大切なのは、作品が生まれた背景、制作の必然性、参加メンバー、音の革新性を、海外のリスナーや業界関係者が理解できる形に編集することだ。『Random Access Memories』は、ヒット曲を持ちながら、アルバム全体に思想があった。だからこそ、単発の流行ではなく、時代を代表する作品として語られ続けている。 関連して読みたいGAJ記事として、同じ第56回の出来事を扱ったGAJヒストリー記事、映像と音楽の世界標準を変えたMichael Jackson『Thriller』の記事、R&Bとヒップホップの境界を越えたLauryn Hillの記事もあわせて確認しておきたい。 推薦試聴 Get Lucky feat. Pharrell Williams and Nile Rodgers: 世界的ヒットになった入口の一曲。 Lose Yourself to Dance: ディスコ、ファンク、ロボット的反復の接点を体感できる楽曲。 Instant Crush feat. Julian Casablancas: 機械的な声の奥にあるメロディの切なさが残る曲。

  • Kendrick Lamar|アーティスト歴史 完全版 — グラミー27回受賞・ラッパー史上最多 / Record of the Year 2回 / ピューリッツァー賞 / Grand National Tour 3億6,960万ドル 全記録

    ▲ Kendrick Lamar & SZA「luther」公式ミュージックビデオ。2026年の第68回グラミー賞で Record of the Year を受賞し、ケンドリック・ラマーをラッパー史上最多の受賞者へ押し上げた楽曲。 数字で見る Kendrick Lamar 本名: Kendrick Lamar Duckworth(ケンドリック・ラマー・ダックワース)/ 1987年6月17日、米カリフォルニア州コンプトン生まれ グラミー賞 通算受賞: 27回 — ラッパーとして史上最多 Record of the Year 受賞: 2回(2025年「Not Like Us」/2026年「luther」)— ラッパーとして史上初の複数回受賞、男性アーティストとして史上初の連覇 第68回グラミー賞(2026年2月1日): 9部門ノミネートで全体最多、5部門受賞 Album of the Year ノミネート: 5作連続 — 史上唯一の記録 ピューリッツァー賞 音楽部門: 2018年『DAMN.』で受賞 — ヒップホップとして初、クラシックとジャズ以外の作品として初 スーパーボウル LIX ハーフタイムショー(2025年2月9日・ニューオーリンズ): 視聴者1億3,350万人で史上最多。ラッパーの単独ヘッドライナーとして初 Grand National Tour(2025年・SZA と共同): 42公演で3億6,960万ドル、190万枚。北米レグ23公演で2億5,640万ドル — 共同ヘッドラインツアーとして史上最高額 全世界セールス: 2018年6月時点で1,790万アルバム換算ユニット 米 Billboard 200 1位アルバム: 5作/ RIAA 認定750万アルバムユニット(2018年時点) スタジオアルバム: 6作/ミックステープ5作/サウンドトラック1作/コンピレーション1作 所属変遷: Top Dawg Entertainment(2005年〜)→ Aftermath / Interscope(2012年〜)→ pgLang(2020年共同設立) はじめに — 「ラッパー」という肩書きが足りなくなった人 ケンドリック・ラマーの経歴を並べていくと、途中でカテゴリーの枠が壊れる。グラミー賞の受賞回数はラッパーとして史上最多の27回。だがそれ以上に説明が難しいのは、2018年にピューリッツァー賞の音楽部門を受けたという事実のほうだ。この賞は長らくクラシックと、ごく例外的にジャズのための領域だった。そこへヒップホップのアルバムが入った。 GAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)がこのアーティストを取り上げるのは、記録が派手だからではない。コンプトンの一区画から出た語りが、どの段階で、どんな判断を積み重ねて世界の評価軸そのものを動かしたのか。その過程が、日本の音楽関係者にとって最も再現性のある教材だからである。以下、14章に分けて時系列で追う。 第1章|1987–2002 コンプトンで生まれた少年と、8歳で見た撮影現場 1987年6月17日、カリフォルニア州コンプトン生まれ。両親はシカゴからの移住者で、彼はこの街の日常を後年の作品の主題そのものにしていく。8歳のとき、2Pac と Dr. Dre が「California Love」のミュージックビデオを撮影している現場に居合わせた。本人が繰り返し語る原体験である。 この一点は逸話として消費されがちだが、構造として見ると重要だ。ロサンゼルス南部のヒップホップは、制作の現場が生活圏のなかにあった。憧れの対象が遠い産業ではなく、歩いて行ける距離に存在したことが、次の世代の参入障壁を大きく下げている。 第2章|2003–2005 K.Dot 名義のミックステープと、16歳での契約 高校在学中、K.Dot 名義で活動を開始する。16歳だった2003年、最初のミックステープ『Y.H.N.I.C.(Hub City Threat: Minor of the Year)』を流通させた。これが地元で反響を呼び、インディペンデント・レーベルの Top Dawg Entertainment(TDE)との契約につながる。契約は2005年、同年12月にはミックステープ『Training Day』を発表している。 ここで押さえておきたいのは、彼のキャリアがメジャーからではなく、インディーの現場から始まっている点である。TDE は当時まったく無名の会社であり、後年の成功はこの初期契約の設計に多くを負っている。 第3章|2006–2010 Black Hippy と、名前を捨てた決断 2006年、TDE の同僚である Jay Rock、Ab-Soul、ScHoolboy Q とともにヒップホップ・グループ Black Hippy を結成する。この時期は表舞台の実績が乏しい下積みだが、4人が互いの作品に参加し合う体制が、後にレーベル全体を押し上げる基盤になった。 そして彼は K.Dot という芸名を捨て、本名の Kendrick Lamar で活動することを選ぶ。ストリートの記号を纏った名前から、自分の生活そのものを引き受ける名前へ。作品の主題が「格好よさ」から「証言」へ移っていく転換点が、この改名に表れている。 第4章|2011『Section.80』— インディーのまま届いた最初の一撃 2011年、デビュー・スタジオアルバム『Section.80』を TDE から発表。レーガン政権下に生まれた世代の閉塞を主題にしたこの作品は、メジャー流通を持たないまま批評的な支持を獲得した。その評価が、Dr. Dre の Aftermath Entertainment および Interscope Records との共同契約を引き寄せる。 実務的に見れば、これは「インディーで作品の質を証明してから、メジャーの流通だけを取りに行く」という順序である。原盤の主導権を手放さずに規模を拡張する手順として、独立クリエイターが最も参考にすべき局面がここにある。 第5章|2012『good kid, m.A.A.d city』— 一日の物語としてのアルバム 2012年、Aftermath 移籍後の第1作『good kid, m.A.A.d city』を発表。副題に「A Short Film by Kendrick Lamar」を掲げ、コンプトンの少年が過ごす一日を時系列の物語として構成した。断片的なシングルの集合ではなく、通して聴くことを前提とした設計である。 この作品は商業的にも彼の代表作の一つとなり、後年まで長く聴かれ続けるカタログを形成した。ストリーミング時代に入ってから「アルバム単位で聴かれる作品」の価値が再評価されるが、その原型は2012年のこの一枚にある。 第6章|2013「Control」— 業界の緊張を一本のヴァースで作り直す 2013年、Big Sean の楽曲「Control」に客演し、同時代のラッパーを実名で列挙したうえで自らを頂点に置くヴァースを残した。ヒップホップ全体が反応し、複数のアンサー楽曲が生まれる。緊張感を競争のエネルギーに変換する、この形式の同時代性を再起動させた一件だった。 第7章|2015『To Pimp a Butterfly』— ジャズとファンクで語り直した黒人史 2015年発表の第3作『To Pimp a Butterfly』は、ジャズ、ファンク、スポークンワードを大胆に導入し、アメリカにおける黒人の歴史と自身の成功への葛藤を主題に据えた。ヒップホップのアルバムでありながら、生演奏の比重が極めて高い。 収録曲「Alright」は、その後の社会運動の現場で自然発生的に合唱されるようになる。作り手が意図して社会運動歌を書いたのではなく、聴き手が用途を決めた。楽曲が公共物になる過程として、近年で最も明快な例である。 ▲「Alright」公式ミュージックビデオ(2015年)。監督は The Little Homies と Colin Tilley。 第8章|2016–2017『untitled unmastered.』と『DAMN.』— 年間1位という到達点 2016年、『To Pimp a Butterfly』期の未発表音源をまとめた『untitled unmastered.』を発表。翌2017年の第4作『DAMN.』では、前作の複雑な構築から一転して、ビートと言葉の切れ味を前面に出した。「HUMBLE.」「DNA.」といった楽曲が広範囲に届き、『DAMN.』は Billboard の年間アルバムチャートで1位、同年の世界売上でも7位に入っている。 ▲「HUMBLE.」公式ミュージックビデオ(2017年3月30日公開)。監督は Dave Meyers と The Little Homies。 同じ『DAMN.』からの「DNA.」は、2017年4月18日に公開された映像で俳優ドン・チードルを起用し、Nabil Elderkin と The Little Homies が監督を務めた。楽曲の速度に映像の編集を完全に同期させる手法が、以降のヒップホップの映像表現に広く波及している。 ▲「DNA.」公式ミュージックビデオ(2017年)。 第9章|2018 ピューリッツァー賞 — 評価の物差しが折れた年 2018年、『DAMN.』がピューリッツァー賞の音楽部門を受賞した。ヒップホップとして初、そしてクラシックとジャズ以外の作品として初の受賞である。この賞は近代アメリカの「芸術音楽」を定義してきた枠組みであり、そこにポピュラー音楽が入ったこと自体が制度側の変更を意味した。 グラミー賞は同時代の音楽産業が同時代の作品を評価する仕組みだが、ピューリッツァー賞は文化の正史を編む側の制度である。彼はこの両方から評価された。この二重性が、彼を「売れたラッパー」ではなく「作家」として位置づける根拠になっている。 第10章|2018–2021『Black Panther』サウンドトラックと、長い沈黙 2018年、映画『Black Panther』のサウンドトラック『Black Panther: The Album』をキュレーションとプロデュースの両面で主導した。単なる主題歌の提供ではなく、作品全体の音楽設計を任される立場に立ったことになる。 以降、次のスタジオアルバムまで約5年の間隔が空く。年に複数回のリリースが常態化した時代に、これは異例の長さだった。だが結果として、この沈黙が次作の重みを作っている。供給量で存在感を維持しない、という選択である。 第11章|2020–2022 pgLang の設立と、TDE からの独立 2020年、長年の協働者である Dave Free とともにクリエイティブ・カンパニー pgLang を設立。音楽に限定せず、映像、テキスト、広告までを扱う枠組みとして立ち上げられた。2022年の第5作『Mr. Morale & The Big Steppers』は、TDE との契約における最後の作品となり、以降は pgLang を主軸に活動している。 『Mr. Morale & The Big Steppers』の主題は、社会でも人種でもなく、自分自身のセラピーだった。世代の代弁者として扱われることを拒み、個人の傷を扱う方向へ舵を切っている。売れ方を最適化するなら選ばない設計であり、その判断ができる立場を17年かけて作ったという事実のほうが重要だ。 第12章|2024「Not Like Us」と『GNX』— 対立を作品に変える技術 2024年、Drake との一連の応酬のなかで発表された「Not Like Us」が、ディス曲という枠を越えて広く受容された。ミュージックビデオは同年7月4日に公開され、Dave Free と本人が共同で監督している。撮影の大半はコンプトンで行われた。 同年11月には予告なしに第6作『GNX』を発表。この作品が翌2025年から2026年にかけて、彼のキャリアで最大の受賞ラッシュを生む。ここで確認しておきたいのは、対立そのものが評価されたのではないという点だ。評価されたのは、対立を作品の水準まで引き上げた技術のほうである。 第13章|2025 スーパーボウル LIX と Grand National Tour 2025年2月9日、ニューオーリンズの Caesars Superdome で開催されたスーパーボウル LIX のハーフタイムショーに出演。ラッパーとして単独でこの舞台のヘッドライナーを務めた初の例であり、視聴者数1億3,350万人はハーフタイムショー史上最多を記録した。 続く Grand National Tour では SZA と共同でヘッドラインを務め、北米・欧州・南米の42公演で3億6,960万ドルを売り上げ、190万枚のチケットを販売した。北米レグ単体でも23公演で2億5,640万ドル、110万枚。共同ヘッドラインのツアーとして報告されている中では史上最高額である。同年、スーパーボウルの演出は音楽監督部門でエミー賞も受けている。 第14章|2026 第68回グラミー賞 — Record of the Year 連覇と、通算27回 2025年11月7日に発表された第68回グラミー賞のノミネーションで、彼は9部門にノミネートされ全体最多となった。Record of the Year、Song of the Year、Album of the Year の主要3部門に同時にノミネートされたのは、彼にとって3度目である。『GNX』は5作連続で Album of the Year にノミネートされた作品となり、これは史上唯一の記録となった。 2026年2月1日の授賞式では5部門を受賞。Record of the Year(SZA との「luther」)、Best Rap Album(『GNX』)、Best Rap Song(「TV Off」)、Best Melodic Rap Performance(「luther」)、Best Rap Performance(「Chains & Whips」)である。これにより通算受賞は27回となり、ラッパーとして史上最多を更新した。 Record of the Year は2025年の「Not Like Us」に続く2年連続の受賞で、ラッパーとして同部門を複数回受けたのは彼が初、男性アーティストとして連覇したのも彼が初である。授賞式では、プレゼンターの Cher が「luther」を Luther Vandross と読み違えるという一幕もあった。 グラミー賞 主要記録と Big 4 通算受賞 27回 — ラッパーとして史上最多 Record of the Year(Big 4): 2025年「Not Like Us」/2026年「luther」feat. SZA — 計2回 Song of the Year(Big 4): 2025年「Not Like Us」 Album of the Year(Big 4): 受賞なし。ノミネートは5作連続で史上唯一 第68回(2026年)受賞5部門: Record of the Year / Best Rap Album / Best Rap Song / Best Melodic Rap Performance / Best Rap Performance 第68回ノミネート数 9 — 全ノミニー中の最多 全アルバム一覧 2011『Section.80』(スタジオ第1作・Top Dawg Entertainment) 2012『good kid, m.A.A.d city』(スタジオ第2作・Aftermath / Interscope) 2015『To Pimp a Butterfly』(スタジオ第3作) 2016『untitled unmastered.』(コンピレーション) 2017『DAMN.』(スタジオ第4作・Billboard 年間アルバムチャート1位/ピューリッツァー賞受賞作) 2018『Black Panther: The Album』(サウンドトラック・キュレーション/プロデュース) 2022『Mr. Morale & The Big Steppers』(スタジオ第5作・TDE 最後の作品) 2024『GNX』(スタジオ第6作・第68回グラミー賞 Best Rap Album 受賞) 日本の音楽関係者にとっての読みどころ 彼のキャリアから取り出せる実務上の要点は三つある。第一に、インディーで作品の質を証明してからメジャーの流通だけを取りに行った順序。第二に、5年の空白を恐れず供給量で存在感を保たなかった判断。第三に、pgLang という自社の器を先に作ってから独立した段取りである。いずれも、規模の小さい体制ほど模倣しやすい。 そして最も重要なのは、彼が一貫してコンプトンという具体的な場所から離れなかったことだ。主題を普遍に寄せるのではなく、固有名詞のまま突き詰めた結果として世界に届いている。地域から出る日本のアーティストにとって、これは戦略として直接に転用できる。 関連記事とリンク Kendrick Lamar — 2026年 Record of the Year / 「luther」で更新したヒップホップのグラミー史 Beyoncé|アーティスト歴史 完全版 — グラミー35回受賞・99ノミネート 史上最多 Adele|アーティスト歴史 完全版 — グラミー16回受賞 / Album of the Year 2回 Spotify で Kendrick Lamar を聴く 出典・本記事について 本記事は Recording Academy(GRAMMY.com)の公式発表を一次ソースとし、Billboard、Billboard Boxscore、Variety、NPR、Britannica 等の報道を参照して構成しています。数値は公表時点のものであり、以後の更新により変動する場合があります。GAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)は株式会社ブラッシュミュージックが運営するグラミー賞関連の情報発信プロジェクトです。 本記事は The Recording Academy および Kendrick Lamar 本人・関係各社とは独立した第三者による解説記事です。掲載する映像は各公式チャンネルの埋め込み機能を利用しています。

  • [2026-08-29] グラミー博物館、Olivia Rodrigo展を9月2日開幕 — MVの手作りセットが2027年2月まで並ぶ

    展示の中心になる Olivia Rodrigo「the cure」オフィシャル・ミュージックビデオ。このMVのために作られた小道具とセットが、そのまま展示物になる。 グラミー博物館(GRAMMY Museum)が2026年8月27日、Olivia Rodrigo の企画展「OLIVIA RODRIGO: THE CURE UNRAVELED」を発表した。American Express がプレゼンティング・スポンサーに付く。 会期は2026年9月2日から2027年2月22日まで。展示は2部構成で、2026年秋のはやい時期に、これまで公開されたことのないキャリア資料を加えた拡張版に切り替わる。 展示されるのは「MVの制作物そのもの」 題材はアルバム『you seem pretty sad for a girl so in love』の収録曲「the cure」のミュージックビデオ。監督は Cat Solen と Jaime Gerin、プロダクションデザイナーは Liam Moore が務めた。 このMVはミニチュア、アニマトロニクスのハート人形、ストップモーションで組み立てられている。展示ではその制作物が現物のまま並ぶ。 公開されている展示物には、撮影で本人が着たナース衣装、ミニチュアの「OR」サイン、鼓動するフェルト製のハート、アルバムのアートワークとパッケージに使われた手縫いの作品が含まれる。 学芸員の Kelsey Goelz は、DIY と手仕事による表現の重要性という観点から本展を位置づけている。Rodrigo 本人も、子どものころから通っていた博物館での開催であることに触れている。 開幕前夜のトークイベントとチケット 開幕前日の2026年9月1日19時(PT)、Ray Charles Terrace で「An Evening With Olivia Rodrigo」を開催する。インタビューとライブパフォーマンスの構成で、モデレーターは映画監督の Cameron Crowe。 このイベントは博物館の音楽教育プログラムへのベネフィット公演として実施される。 チケットは American Express のプレセールが8月28日10時30分(PT)から8月29日11時(PT)まで、一般販売は8月29日12時(PT)から。 日本の音楽関係者にとっての読みどころ 注目すべきは、展示の中身が「衣装とゴールドディスク」ではなく「ミュージックビデオの制作物」だという点にある。撮影が終われば倉庫か廃棄になる小道具・セット・美術が、公式の展示資産として二次利用されている。 日本の制作現場では、MVの美術と小道具は完パケ納品の後に管理主体があいまいになりやすい。誰が保管し、誰が権利を持ち、どこまで公開できるのかを制作時点で決めておけば、同じ構造は国内でも組める。 もう一点は、決済ブランドがスポンサーに入り、プレセール枠がその特典になっていること。展示・イベント・スポンサー・チケット販売が1本の設計として繋がっている。企画書を書く側にとっては、そのまま参照できる型といえる。 今週の他のGAJ記事 「The Icon Sessions」Taylor Swift回を全編公開 / 「Spotlight: YOASOBI」9月14日開催 / グラミー博物館、9月のアーティストプログラムを一斉発売 出典・本記事について 原文(GRAMMY Museum プレスリリース):https://grammymuseum.org/press-release/ 本記事は Recording Academy / GRAMMY Museum の公式発表および公開情報をもとに、株式会社ブラッシュミュージックの GAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)編集部が日本語で再構成したものです。原文の全訳ではなく、要約と再構成によって日本の音楽関係者向けに整理しています。 本記事は Recording Academy、GRAMMY Museum、および記載の各アーティスト・団体とは提携関係にありません。日程・価格・出演者は主催者の都合で変更される場合があります。最新情報は必ず主催者の公式発表をご確認ください。

  • [2026-08-29] グラミー博物館「Spotlight: YOASOBI」9月14日開催 — 同館初登場、チケットは完売

    YOASOBI「アイドル」オフィシャル・ミュージックビデオ。Billboard Japan Hot 100 で2023年の年間1位を獲得した楽曲。 グラミー博物館が2026年8月21日、「Spotlight: YOASOBI」の開催を発表した。日時は2026年9月14日19時30分から21時(PT)、会場はロサンゼルスの GRAMMY Museum L.A. Live、Ray Charles Rooftop Terrace。 内容はモデレーター付きのインタビューとスペシャルライブ。YOASOBI にとって同館への出演は初となる。チケットはすでに完売し、現在はウェイティングリストのみの受付になっている。 博物館側が挙げた実績 博物館のアーティスト紹介には、日本のアーティストとしては異例の数字が並んでいる。 「夜に駆ける」は2023年1月に9億ストリームを突破し、日本のアーティストとして初めてこの水準に到達した。TikTok LIVE では63万人以上が視聴し、同時接続は12万人を超えて日本人アーティスト最高を記録している。 2023年のアリーナツアーは7都市14公演、動員13万人。「アイドル」は Billboard Japan Hot 100 で22週連続1位を記録し、2023年の年間1位となった。同チャートで最速の1億ストリーム到達曲でもある。 北米ツアーとアジアツアーの間に置かれた日程 今回の出演は、2026年の北米ツアー「YOASOBI NORTH AMERICA TOUR 2026 “NEVER ENDING STORIES”」の後に組まれている。ボストン、ブルックリン、ハミルトン、シアトル、オークランド、ロサンゼルスの6都市を回り、総動員は7万人。Lollapalooza 2026 ではメインステージに立った。 この後、2026年10月からはアジア10都市を回るドーム・スタジアムツアー「YOASOBI ASIA 10-CITY DOME & STADIUM TOUR 2026-2027 超惑星」が控える。4th EP『THE BOOK for,』は2026年6月26日にリリースされ、アナログ盤は7月31日に発売された。 入場条件は厳しく設定されている。転売不可、名義変更不可、当日は身分証を提示してのウィルコール受け取り、カメラ持ち込み不可、バッグは9インチ×6インチまで、再入場不可となっている。 日本の音楽関係者にとっての読みどころ この件の意味は、賞レースとは別の経路で日本のアーティストがアカデミーの中に入っているという点にある。 2027年のグラミーでは Best Asian Pop Music Performance 部門の扱いが議論の対象になっているが、博物館のプログラムはその議論の外側で動いている。部門新設という制度の話と、実際に会場に立つという話は別のレイヤーで進む。 海外展開を考える立場からは、ツアー日程の合間に権威ある施設のプログラムを差し込む組み方そのものが参考になる。動員のための公演とは別に、記録と信用を残すための小規模な枠を1本置く。この配置は規模を問わず再現できる。 今週の他のGAJ記事 グラミー博物館、Olivia Rodrigo展を9月2日開幕 / 「The Icon Sessions」Taylor Swift回を全編公開 / グラミー博物館、9月のアーティストプログラムを一斉発売 出典・本記事について 原文(GRAMMY Museum イベントページ):https://grammymuseum.org/event/spotlight-yoasobi/ 本記事は Recording Academy / GRAMMY Museum の公式発表および公開情報をもとに、株式会社ブラッシュミュージックの GAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)編集部が日本語で再構成したものです。原文の全訳ではなく、要約と再構成によって日本の音楽関係者向けに整理しています。 本記事は Recording Academy、GRAMMY Museum、および記載の各アーティスト・団体とは提携関係にありません。日程・価格・出演者は主催者の都合で変更される場合があります。最新情報は必ず主催者の公式発表をご確認ください。

  • グラミー博物館の「An Evening With」シリーズ

    グラミー博物館の「An Evening With」シリーズは、Clive Davis Theaterで行われるトークとライブのイベントです。このイベントは200席規模で、公式YouTubeチャンネルに映像資産として保存されます。 チケット販売情報 グラミー博物館は、2026年8月28日に9月のアーティストプログラムのチケット販売を開始します。American Express会員向けのプレセールは8月27日10時30分から、一般販売は8月29日12時(PT)から行われます。 主要イベントの詳細 「A Conversation With Charli xcx」は9月4日19時30分から20時30分(PT)に開催されます。このイベントでは、8作目のスタジオアルバム『Music, Fashion, Film』が題材となります。共同エグゼクティブプロデューサーのA.G. CookとFinn Keaneが参加します。 「An Evening With RAYE」は9月28日19時30分から21時(PT)にRay Charles Terraceで行われます。このイベントは、17曲入りのアルバム『THIS MUSIC MAY CONTAIN HOPE』を中心に構成されています。 9月のラインナップ ロサンゼルス側のラインナップには、以下のアーティストが含まれています。 Noah Kahan(9月3日・完売) Steve Martin & Alison Brown(9月8日) The Drop: Bebe Rexha(9月9日) Reel To Reel: Linda Perry『Let It Die Here』(9月10日) Spotlight: YOASOBI(9月14日・完売) Pentatonix(9月15日) The Drop: Arlo Parks(9月16日) Hilary Duff(9月23日) Megadeth(9月24日) Carly Pearce(9月29日) ニューヨーク側では「A New York Evening With」シリーズとして、以下のアーティストが登場します。 Rostam(8月31日) Questlove(9月8日) Adam Lambert(9月14日) Kashus Culpepper(9月28日) ロサンゼルスの公演は、販売開始から数日で完売することが多いです。 イベントが映像資産に変わる仕組み これらのプログラムは単発のイベントではありません。各回は90分前後で、博物館の公式YouTubeチャンネルとストリーミングサービス「COLLECTION:live」に収蔵され、恒久的なアーカイブとなります。American Expressが公式決済パートナーとして参加し、プレセール枠が需要の先取りを担います。会場の座席数が小さいため、完売しやすく、その事実自体が告知の材料にもなります。 日本の音楽関係者にとっての読みどころ この設計の要点は、200席という規模にあります。大きな会場を埋める必要がないため、リリース直後のアーティストでも成立します。1回の企画から、チケット収入、スポンサー枠、アルバムのプロモーション、そして恒久的な映像アーカイブの4つが同時に得られます。これは、日本のライブハウスやホールの規模でもそのまま組める構成です。 9月14日のYOASOBI公演も、この同じパイプラインに位置しています。海外での露出を設計する際には、フェスやツアーだけでなく、こうした小規模プログラムの枠を狙う選択肢があることを理解しておくことが重要です。 今週の他のGAJ記事 グラミー博物館、Olivia Rodrigo展を9月2日開幕 / 「The Icon Sessions」Taylor Swift回を全編公開 / 「Spotlight: YOASOBI」9月14日開催 出典・本記事について 原文(GRAMMY Museum プログラムカレンダー):https://grammymuseum.org/programs/ 本記事はRecording Academy / GRAMMY Museumの公式発表および公開情報をもとに、株式会社ブラッシュミュージックのGAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)編集部が日本語で再構成したものです。原文の全訳ではなく、要約と再構成によって日本の音楽関係者向けに整理しています。 本記事はRecording Academy、GRAMMY Museum、および記載の各アーティスト・団体とは提携関係にありません。日程・価格・出演者は主催者の都合で変更される場合があります。最新情報は必ず主催者の公式発表をご確認ください。

  • [2026-08-29] グラミー博物館「The Icon Sessions」Taylor Swift 回を全編公開 — 収録8月18日、公開8月24日

    公開された「The Icon Sessions with Taylor Swift」本編。グラミー博物館の Clive Davis Theater での収録。 Recording Academy が2026年8月24日、「The Icon Sessions」の Taylor Swift 回を全編公開した。収録は8月18日、会場はグラミー博物館の Clive Davis Theater。 主催はアカデミーの Songwriters & Composers Wing。聞き手は Recording Academy CEO の Harvey Mason jr. が務め、収録時間はおよそ45分から50分。 客席は200席で、集まったのは現役のソングライターたち。授賞団体としてではなく、制作技術を扱う教育機関としてのアカデミーの側面が前に出た企画になっている。 Eras Tour のピアノでのパフォーマンス セッションの後半では、Eras Tour で実際に使われたピアノを使ったメドレーが披露された。 演奏されたのは『Toy Story 5』への提供曲「I Knew It, I Knew You」、「august」、「All Too Well」の3曲。2026年6月23日にナッシュビルで行われたイベント以来の、公の場でのパフォーマンスとされている。 「I Knew You Were Trouble」はもともとピアノのバラードだった 制作論として具体的だったのは「I Knew You Were Trouble」の成り立ちに関する部分だった。この曲はもともとドラムのない、静かなピアノのバラードとして書かれていたという。 それをダブステップの構成に組み替えることを提案したのが Max Martin と Shellback で、本人はその提案を受け入れた側だったと語っている。 本人はセッションのなかで、音楽は自分の経験を忘れるためではなく、覚えているために選んだものだという趣旨の発言をしている。 日本の音楽関係者にとっての読みどころ この企画の骨格は単純で、会員向けのクローズドな制作セッションを収録し、あとから一般公開して無料の教育コンテンツに変える、というものになっている。 会場は200席、機材は既存のホール設備、出演はアカデミーの人脈。追加の制作費はほとんどかからないのに、出てくるのは恒久的に残る映像資産になる。 日本でも著作権管理団体、音楽出版社、音大、業界団体はいずれも同じ条件を持っている。ソングライター教育とアーティストの発信を1本のフォーマットで両立させる型として、検討する価値がある。 公開のタイミングが2027年グラミーのエントリー締切と重なっている点も、運営側の設計としてあわせて見ておきたい。 今週の他のGAJ記事 グラミー博物館、Olivia Rodrigo展を9月2日開幕 / 「Spotlight: YOASOBI」9月14日開催 / グラミー博物館、9月のアーティストプログラムを一斉発売 出典・本記事について 原文(GRAMMY.com):https://www.grammy.com/ 本記事は Recording Academy / GRAMMY Museum の公式発表および公開情報をもとに、株式会社ブラッシュミュージックの GAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)編集部が日本語で再構成したものです。原文の全訳ではなく、要約と再構成によって日本の音楽関係者向けに整理しています。 本記事は Recording Academy、GRAMMY Museum、および記載の各アーティスト・団体とは提携関係にありません。日程・価格・出演者は主催者の都合で変更される場合があります。最新情報は必ず主催者の公式発表をご確認ください。

  • 2027年グラミー、エントリー締切後の注目点 Best Asian Popが日本勢の入口になる

    2027年グラミーに向けたOnline Entry Processは8月21日に締め切られ、対象期間は8月28日で区切られる。ここから注目したいのは、新設されたBest Asian Pop Music Performanceと、投票前の聴取導線を広げるBallot Plusだ。日本のアーティストが国際的な賞レースでどう見つかるのか、GAJの視点で整理する。 OEPは締切後、ここから選考フェーズへ Recording Academyの案内では、2027年グラミーのOnline Entry Processは7月7日に始まり、8月21日までエントリーを受け付ける設計だった。対象作品のEligibility Periodは2025年8月31日から2026年8月28日まで。つまり今日で対象期間が閉じ、ここから各作品が部門・規定・提出情報の確認を経て、投票者に届く準備へ移る。 Best Asian Popは、日本語圏にとって新しい入口 2027年から新設されるBest Asian Pop Music Performanceは、K-pop、J-pop、C-popなど、アジア圏のポップ表現を対象にする新カテゴリーだ。大事なのは、単に“アジア枠”ができたという話ではない。英語圏以外の言語、地域ごとのファンベース、映像・SNS・ライブの広がりが、賞レース上でも見つけられやすくなる可能性がある。日本勢にとっては、楽曲だけでなく、作品説明、公式映像、英語資料、海外向けプロフィールを整える意味がさらに大きくなる。 Ballot Plusが変える“聴かれる前の準備” 今回のアップデートでは、Ballot Plusという補足情報の導線も重要になる。投票者が候補作品へアクセスする前に、作品の背景や参加者情報、文脈を理解しやすくなるほど、国境を越えた作品の受け取られ方は変わる。日本のアーティストに必要なのは、リリース情報、MV、クレジット、活動履歴を英語でも一貫して提示すること。GAJが扱う情報整理は、ここに直結する。 日本から狙うなら、作品情報の整備が先 海外の賞やメディアに届く作品は、音源だけで勝負しているわけではない。公式YouTube、配信リンク、英語プロフィール、ライブ実績、制作クレジット、ニュース記事への導線がそろっているほど、関係者が短時間で理解しやすい。Best Asian Popの新設は、日本の音楽にとってチャンスである一方、情報整備の差がそのまま露出の差になる。GAJは、日本語でグラミー情報を追いながら、国内アーティストが世界へ進むための実務的な視点も蓄積していく。 関連するGAJ記事 https://www.brushmusic.com/post/2027-grammys-online-entry-oep-deadlines-artist-intent https://www.brushmusic.com/post/gaj-weekly-grammy-news-20260711-new-categories-asian-pop https://www.brushmusic.com/post/sureel-symphonic-ai-music-attribution-licensing 出典 https://www.grammy.com/news/2027-grammys-how-submit-music-guide/ https://www.grammy.com/news/2027-grammys-new-categories-rule-updates/ https://www.grammy.com/news/grammys-ceo-harvey-mason-jr-2027-grammys-interview-new-categories/ GAJ メンバー登録: https://www.brushmusic.com/artist/categories/gaj-members

  • Ayase「PLANETS」MV今夜公開 セルフプロデュースEPの物語が映像へ

    Ayaseが1st EP『dialogue』収録曲「PLANETS」のMusic Videoを、8月28日19時にYouTubeで公開します。夜の丘、光をまとった少女、スケートボードを手に進む少年というイメージが交差するドラマ仕立ての映像です。YOASOBIとはまた違う、ソロとしてのAyaseの物語性に触れられる一本になりそうです。 今日のポイント 『dialogue』はAyaseが作詞・作曲・編曲・歌唱まで手がけたセルフプロデュースEP。今回のMVは、楽曲にある対話のテーマを映像側へ広げるニュースとして注目です。 出典 出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001898.000055377.html YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=gc5Kd6lvlDg

  • 大森元貴「灰色」MV公開 映画『白鳥とコウモリ』主題歌が急上昇

    大森元貴が5th Digital Single「灰色」のOfficial Music Videoを公開しました。映画『白鳥とコウモリ』主題歌として配信が始まった楽曲で、公式サイトでも8月26日のMV公開と配信スタートが案内されています。重厚なメロディ、静かな不穏さ、そして歌の奥にある物語性が、映像でさらに濃く見えてくる一曲です。 今日のポイント 大森元貴のソロ曲は、Mrs. GREEN APPLEとは違う角度で声と言葉の輪郭が立ち上がります。映画主題歌としての文脈もあり、映像から入ると曲の重さがより伝わりやすいニュースです。 出典 出典: https://motoki-ohmori.com/ 参考: https://www.thefirsttimes.jp/news/0000870597/ YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=EUCRNhQlKYc

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    MAN WITH A MISSIONの新曲「一閃」が、カプコンの剣戟アクションゲーム『鬼武者 Way of the Sword』公式プロモーションソングに決定しました。公開されたプロモーション映像では、重い剣戟の動きとバンドの疾走感が一気にぶつかります。ゲーム、ロック、映像演出が同じテンションで走る、かなり相性の良いタイアップです。 今日のポイント 9月4日発売予定の『鬼武者 Way of the Sword』に向け、書き下ろし楽曲とコラボイラスト、TVCM展開が発表されています。ゲームIPと国内ロックバンドの組み合わせが、海外ファンにも届きやすいニュースです。 出典 出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005957.000013450.html 公式: https://www.mwamjapan.info/contents/1104982 YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=mQFc--nwjRs

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