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第65回グラミー賞(2023):Beyoncé 史上最多 32冠到達で Georg Solti 超え — Bad Bunny 初のスペイン語 AOTY ノミネート、Kim Petras 史上初トランス女性受賞

  • 8月16日
  • 読了時間: 3分

2023年2月5日、Crypto.com Arena(旧 Staples Center)で開催された第65回グラミー賞。Beyoncé は『Renaissance』で Best Dance/Electronic Album、Best R&B Song「Cuff It」など4部門を獲得し、生涯累計32冠を達成 — クラシック指揮者 Sir Georg Solti(31冠)を抜いて、全ジャンルを通じてグラミー史上最多受賞アーティストとなった。Bad Bunny『Un Verano Sin Ti』が史上初のスペイン語アルバム Album of the Year ノミネート、Kim Petras が史上初のトランスジェンダー女性として Best Pop Duo/Group Performance を Sam Smith と共に獲得。AOTY は Harry Styles『Harry's House』のサプライズ受賞となった。

出来事の背景

Beyoncé は2022年7月、6年振りの新作『Renaissance』(Act I)をリリース。ハウス/ディスコ/エレクトロニカを中心としたダンス・アルバムで、LGBTQ+ コミュニティへのオマージュを核に据えた作品だった。批評的にも商業的にも大成功し、AOTY 本命とされていた。

Bad Bunny『Un Verano Sin Ti』(2022年5月)は Billboard 200 で年間1位となった史上初の完全スペイン語アルバム。2022年は Bad Bunny が世界 Spotify 最多ストリーミングアーティスト3年連続を達成、ラテン音楽が完全に主流化した年だった。

Kim Petras はドイツ出身のオープンリー・トランスジェンダー女性アーティスト。Sam Smith との「Unholy」が全米1位を獲得し、両者がトランス/ノンバイナリーの代表として注目された。

受賞の瞬間 / 出来事の詳細

Beyoncé の32冠達成シーンは式典のクライマックスとなった。Best Dance/Electronic Album 受賞時、夫 Jay-Z と娘 Blue Ivy が客席で泣きながら抱き合う映像が世界中で流された。Beyoncé は「Queer Community に感謝を。私の叔父 Johnny に、そして全ての先駆者に感謝を」と語った。

しかし AOTY 発表で Harry Styles『Harry's House』が呼ばれた瞬間、会場は驚きで静まり返った。Beyoncé の表情は変わらず拍手を送ったが、SNS では「グラミーは何度同じ過ちを繰り返すのか」と Adele 2017 の Lemonade 事件と並ぶ論争となった。Harry Styles のスピーチ「This doesn't happen to people like me very often」も「特権者発言」として批判を浴びた。

Kim Petras は Sam Smith と共に Best Pop Duo/Group Performance「Unholy」を獲得。受賞スピーチで Kim は「私はトランスジェンダー女性として、初めてこの賞を獲得した。前回亡くなった伝説的トランスアーティスト Sophie に捧げます」と語り、会場は涙のスタンディング・オベーション。

Bonnie Raitt は「Just Like That」で Song of the Year を獲得。Beyoncé「Break My Soul」、Adele「Easy on Me」、Taylor Swift「All Too Well (10 Minute Version)」などを抑えての受賞で、史上最大の番狂わせの一つとされた。

文化的・産業的意義

Bad Bunny の主要部門ノミネートは、グラミー賞が「英語以外の言語」を主流として正式に認めた象徴的瞬間。これは2026年の Bad Bunny『Debí Tirar Más Fotos』AOTY 受賞への布石となった。ラテン・ポップが「グローバル・ポップ」と完全に同義になった文化的転換点。

Kim Petras の受賞はトランスジェンダー・アーティストの可視化において歴史的事件。これと並行して、Sam Smith のジェンダー・ノンバイナリー化、Lil Nas X のオープンリー・ゲイ活動など、LGBTQ+ アーティストが主要部門の常連となった2020年代の流れを決定づけた。

GAJ 視点 / 日本の音楽業界への示唆

Bad Bunny の事例は、非英語アーティストがグローバル音楽産業の頂点に立てる時代を示す。日本のアーティストにとって「英語で歌わなければ世界で通用しない」という長年の前提は完全に崩壊した。J-pop、J-hip-hop、シティポップ、アニソンなどが日本語のまま世界市場で評価される時代に、GAJ は日本語コンテンツの戦略的グローバル展開を本格化させる必要がある。

発行:株式会社BRUSH MUSIC / GAJ ヒストリー

 
 
 

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