第67回グラミー賞(2025):Beyoncé 念願の初 AOTY『Cowboy Carter』— Lauryn Hill 以来26年振り黒人女性 AOTY、Kendrick『Not Like Us』5部門全制覇、LA 山火事復興慈善ライブ化
- 8月16日
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2025年2月2日、Crypto.com Arena での第67回グラミー賞 — 直前のロサンゼルス山火事(2025年1月)を受け、式典は MusiCares Fire Relief Fund のための慈善ライブ形態に変更され、約2,400万ドルを調達した。Beyoncé が悲願の初 Album of the Year を『Cowboy Carter』で獲得 — Lauryn Hill『The Miseducation of Lauryn Hill』(1999) 以来26年振りの黒人女性 AOTY、生涯通算35冠目。Kendrick Lamar の Drake ディス曲『Not Like Us』が Record of the Year・Song of the Year・Best Rap Performance・Best Rap Song・Best Music Video の5部門全制覇 — ディス・トラックが Big Two を制覇した史上初の事例。Doechii はラップ女性史上3人目の Best Rap Album を獲得した。
出来事の背景
2024年3月、Beyoncé は『Renaissance』Act II として『Cowboy Carter』を発表。カントリー音楽への黒人女性としての挑戦、ジャンル境界の脱構築を主題とした作品で、批評家絶賛と同時に「カントリー部門は守るべき白人音楽」という保守派の反発も呼んだ。
2024年5月、Drake と Kendrick Lamar の長年のディスバトルが頂点に。Kendrick の「Not Like Us」(Mustard プロデュース)はリリース後数時間で Spotify 史上最速 1日 1,000万ストリーミング達成、Drake を「pedophile」呼ばわりする攻撃的内容で世界中の議論を呼んだ。
2025年1月、ロサンゼルスのパシフィック・パリセード地区を中心に巨大山火事が発生。数千棟が全焼、数百名が避難所生活となり、グラミー出演予定アーティスト・関係者多数も被災していた。
受賞の瞬間 / 出来事の詳細
式典は通常のレッドカーペット・パフォーマンス・ショー要素を全て山火事復興チャリティとして再構成。Trevor Noah がホストとして「今夜は音楽の夜であると同時に、LA を救う夜だ」と宣言。約2,400万ドルが調達された。
Kendrick Lamar『Not Like Us』は5部門全制覇という前代未聞の結果。ディス・トラックが Record of the Year と Song of the Year を同時獲得したのは史上初。受賞スピーチで Kendrick は「これはカルチャーの勝利だ」と短く語った。
Beyoncé は Best Country Album を黒人女性として史上初受賞(これも歴史的快挙)、その後 Album of the Year 発表で Taylor Swift『The Tortured Poets Department』、Billie Eilish などを抑えて受賞。涙ながらに「もう一度ありがとうと言わせてください」と8度目のノミネートで初の AOTY 獲得を喜んだ。
Doechii は『Alligator Bites Never Heal』で Best Rap Album を獲得。Lauryn Hill(1997)、Cardi B(2019)に続く女性ソロ・ラッパー史上3人目の同部門受賞となった。
文化的・産業的意義
Beyoncé の初 AOTY 受賞は、長年の「Recording Academy は黒人女性の最高傑作を AOTY として認めない」という構造的批判への遂なる回答。前年の Jay-Z 批判スピーチ以来の課題が解消された。
Kendrick「Not Like Us」の5部門制覇は、ヒップホップ史における「ディス・トラックの正典化」を意味する。同時に、ストリーミング時代の超高速ヒット文化(リリース後8ヶ月で AOTY 候補)の制度的承認でもある。
GAJ 視点 / 日本の音楽業界への示唆
山火事復興チャリティ化は、メジャー・アワードが社会的危機にどう向き合うかの模範例。日本の音楽産業は災害(東日本大震災、能登半島地震等)への業界横断的な対応で世界平均より遅れがちで、レコ大や日本ゴールドディスク大賞などが「業界の社会的役割」を再定義する転機を迎えるべきだろう。
発行:株式会社BRUSH MUSIC / GAJ ヒストリー


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