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【第49回グラミー賞】Dixie Chicks が反ブッシュ発言からの大逆転 — Big Four 含む5部門完全制覇と The Police 再結成

  • 8月16日
  • 読了時間: 3分

2007年2月11日、ロサンゼルス・ステープルズセンター。2003年ロンドン公演でブッシュ大統領を批判する発言をしてカントリー業界・カントリーラジオから完全排斥されていた Dixie Chicks が、復活作『Taking the Long Way』で Album of the Year、Record of the Year(『Not Ready to Make Nice』)、Song of the Year、Best Country Album、Best Country Performance by a Duo or Group の5部門を完全制覇する大逆転を演じた。さらにオープニングでは The Police が24年ぶりに再結成し『Roxanne』を披露、ロック世代の長期復活劇場を彩った。

出来事の背景

2003年3月10日、Dixie Chicks のリードボーカル Natalie Maines が、ロンドン公演で『私たちは、ブッシュ大統領がテキサス出身であることを恥じている』と発言。イラク戦争開戦直前の愛国ムードの中、米国カントリーラジオは一斉に Dixie Chicks の楽曲をプレイリストから外し、グループは死の脅迫まで受けた。

彼女たちは沈黙ではなく反撃を選び、4年後の2006年に Rick Rubin プロデュース『Taking the Long Way』を発表。タイトル曲『Not Ready to Make Nice』は、自らへの攻撃に対する直接的応答で、カントリー業界との決別とロック寄りサウンドへの転換を宣言した作品となった。

Album of the Year 候補は Dixie Chicks、Gnarls Barkley『St. Elsewhere』、John Mayer『Continuum』、Justin Timberlake『FutureSex/LoveSounds』、Red Hot Chili Peppers『Stadium Arcadium』。批評家は John Mayer か Justin Timberlake と予想していた。

受賞の瞬間 / 出来事の詳細

Dixie Chicks の Big Four 含む5部門完全制覇は、Recording Academy が「言論の自由を理由に業界から排斥されたアーティスト」を最高賞で承認した政治的判断としても解釈された。Natalie Maines は『反対意見を表明する権利』『沈黙させられない強さ』をスピーチで強調し、会場のスタンディング・オベーションを受けた。

オープニングでは The Police(Sting、Andy Summers、Stewart Copeland)が1984年の解散以来、24年ぶりに公式に再結成し『Roxanne』を披露。これに続いて2007-2008年の世界再結成ツアーが発表され、最終グロス3億6,000万ドル超という当時史上最大規模のツアーとなった。

Carrie Underwood が Best New Artist を獲得し、Dixie Chicks 後のカントリー業界の主役交代を象徴。

文化的・産業的意義

Dixie Chicks の戴冠は、グラミーが『芸術的表現の自由』と『業界政治』の対立で前者を支持することを明確に示した。アーティストの政治的発言に対するキャンセル・カルチャーが10年後の SNS 時代に再燃する中、2007年の Recording Academy の判断は再評価され続けている。後の Kendrick Lamar、Beyoncé『Lemonade』、Childish Gambino『This Is America』へと続く『社会批評を含む音楽の最高賞評価』の系譜の起点となった。

The Police 再結成は、レガシー・アーティストの大規模再結成ツアー経済モデルを業界に再認識させた。グラミー授賞式が『再結成発表の最適な舞台』として機能する慣行は、Led Zeppelin、Genesis、Outkast、Mötley Crüe、Smashing Pumpkins などの後続事例に大きな影響を与えた。

GAJ 視点 / 日本の音楽業界への示唆

GAJ視点では、Dixie Chicks 復活劇は『業界排斥されたアーティストが芸術性で復活する条件』を示した重要ケース。日本でも特定の発言を契機に活動停止に追い込まれるアーティストは多いが、Rick Rubin 級のプロデューサーとパートナーシップを組み、ジャンルを越境した作品で評価軸を変える戦略は、現代でも有効である。

また、24年ぶりの The Police 再結成ツアーが3億6,000万ドルを稼ぎ出した事実は、日本の80年代-90年代アーティスト(BOOWY、TM NETWORK、X JAPAN、L'Arc〜en〜Ciel など)の海外再結成ツアー潜在価値を再認識させる。グラミー的舞台で再結成発表する設計術は、日本の業界にも導入余地が大きい。

発行:株式会社BRUSH MUSIC / GAJ ヒストリー

 
 
 

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