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BTSのグラミー賞辞退をどう見るか|新設アジア・ポップ部門は分断か、それとも入口か

8 時間前
読了時間: 3分

BTSが2027年のグラミー賞に楽曲を出さないと発表しました。

新しくできた「ベスト・アジアン・ポップ」部門を、彼らは受け入れなかった。これを「分断だ」と見るか、「入口ができた」と見るか。

何が起きたのか

2026年7月29日、BTS が2027年のグラミー賞(第69回)に楽曲をエントリーしないと発表しました。声明は「地域や言語で分断されるのではなく、音楽は音楽として聴かれ、愛されることを願う」というものです。

背景にあるのは、第69回から新設される5部門のひとつ「Best Asian Pop Music Performance」です。アジア市場で制作・広く認知されたポップ音楽が対象で、K-POP・J-POP・C-POP を含み、1つ以上のアジア言語が有意に使われていることが条件になっています。

地域部門は「別枠」なのか、「入口」なのか

ここは意見が分かれるところです。ただ、先行する例を見ておく価値はあります。

  • 2026年の第68回で、バッド・バニー『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』が、スペイン語アルバムとして史上初めてアルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞

  • 2024年の第66回で新設された「Best African Music Performance」の初代受賞はタイラ「Water」

  • ラテン・グラミーは2000年に第1回が開催され、いまやラテン音楽最大級の授賞式になっている

バッド・バニーは、本家で評価される前にラテン・グラミーで先に評価されていました。地域のカテゴリーが評価の足場になり、そこから主要部門に届いた例です。

主要部門とジャンル部門は、どちらか一方ではない

見落とされがちなのが投票の仕組みです。グラミー賞で投票できるのは Voting Member だけで、彼らはまず主要6部門(ジェネラルフィールド)に投票でき、そのうえで自分の専門に近い部門にも投票します。

つまり、アジア・ポップ部門にエントリーしたからといって、主要部門の対象から外れるわけではありません。エントリーすれば両方の評価対象になり得る。この構造を踏まえると、「新設部門を拒否する」より「歓迎したうえで主要部門を目指す」ほうが、獲得できる機会は多かったのではないか、というのが私の見方です。

ただし、その後アカデミー側が動いています

2026年8月14日、レコーディング・アカデミーCEO の Harvey Mason Jr. が声明を出しました。BTS の判断を尊重するとした上で、「この部門が自分たちの作る音楽を望む形で表していないと感じているアーティストがいる」と述べています。

アカデミーは K-POP・J-POP・C-POP やインド音楽などの関係者と対話を重ね、理事会と Awards & Nominations Committee の意見を仰ぐとしています。つまり、部門の見直し自体が検討されている段階です。BTS の声明が制度を動かしたとも言えます。

この番組について

ROAD TO GRAMMY from G Association Japan(GAJ)は、株式会社BRUSH MUSIC が運営する、グラミー賞とレコーディング・アカデミーの制度を日本語で正確に伝える取り組みです。

https://www.brushmusic.com/gaj

グラミー賞の仕組みを一から知りたい方はこちら

https://www.brushmusic.com/about-grammys

ご注意

本記事および動画は公開されている情報に基づく個人の見解であり、特定のアーティストや団体を批判することを目的としたものではありません。要件・締切・部門は毎年改定されます。実際に申請・エントリーされる際は、必ず grammy.com の最新の記載をご確認ください。

なお動画内で投票会員数を「約1万6千人」と述べていますが、約1万6千人はレコーディング・アカデミーの総会員数で、投票権を持つ Voting Member は約1万3千人です。お詫びして訂正します。

WELCOMEMAN/稲田大介。株式会社BRUSH MUSIC 代表。音楽プロデューサー、投資家、そしてセルフマネージメントの3つの顔で発信しています。

株式会社BRUSH MUSIC / BUSINESS SUPPORT

https://www.brushmusic.com/businesssupport

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