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空の検索で1578件の結果が見つかりました。

  • グラミー博物館の「An Evening With」シリーズ

    グラミー博物館の「An Evening With」シリーズは、Clive Davis Theaterで行われるトークとライブのイベントです。このイベントは200席規模で、公式YouTubeチャンネルに映像資産として保存されます。 チケット販売情報 グラミー博物館は、2026年8月28日に9月のアーティストプログラムのチケット販売を開始します。American Express会員向けのプレセールは8月27日10時30分から、一般販売は8月29日12時(PT)から行われます。 主要イベントの詳細 「A Conversation With Charli xcx」は9月4日19時30分から20時30分(PT)に開催されます。このイベントでは、8作目のスタジオアルバム『Music, Fashion, Film』が題材となります。共同エグゼクティブプロデューサーのA.G. CookとFinn Keaneが参加します。 「An Evening With RAYE」は9月28日19時30分から21時(PT)にRay Charles Terraceで行われます。このイベントは、17曲入りのアルバム『THIS MUSIC MAY CONTAIN HOPE』を中心に構成されています。 9月のラインナップ ロサンゼルス側のラインナップには、以下のアーティストが含まれています。 Noah Kahan(9月3日・完売) Steve Martin & Alison Brown(9月8日) The Drop: Bebe Rexha(9月9日) Reel To Reel: Linda Perry『Let It Die Here』(9月10日) Spotlight: YOASOBI(9月14日・完売) Pentatonix(9月15日) The Drop: Arlo Parks(9月16日) Hilary Duff(9月23日) Megadeth(9月24日) Carly Pearce(9月29日) ニューヨーク側では「A New York Evening With」シリーズとして、以下のアーティストが登場します。 Rostam(8月31日) Questlove(9月8日) Adam Lambert(9月14日) Kashus Culpepper(9月28日) ロサンゼルスの公演は、販売開始から数日で完売することが多いです。 イベントが映像資産に変わる仕組み これらのプログラムは単発のイベントではありません。各回は90分前後で、博物館の公式YouTubeチャンネルとストリーミングサービス「COLLECTION:live」に収蔵され、恒久的なアーカイブとなります。American Expressが公式決済パートナーとして参加し、プレセール枠が需要の先取りを担います。会場の座席数が小さいため、完売しやすく、その事実自体が告知の材料にもなります。 日本の音楽関係者にとっての読みどころ この設計の要点は、200席という規模にあります。大きな会場を埋める必要がないため、リリース直後のアーティストでも成立します。1回の企画から、チケット収入、スポンサー枠、アルバムのプロモーション、そして恒久的な映像アーカイブの4つが同時に得られます。これは、日本のライブハウスやホールの規模でもそのまま組める構成です。 9月14日のYOASOBI公演も、この同じパイプラインに位置しています。海外での露出を設計する際には、フェスやツアーだけでなく、こうした小規模プログラムの枠を狙う選択肢があることを理解しておくことが重要です。 今週の他のGAJ記事 グラミー博物館、Olivia Rodrigo展を9月2日開幕 / 「The Icon Sessions」Taylor Swift回を全編公開 / 「Spotlight: YOASOBI」9月14日開催 出典・本記事について 原文(GRAMMY Museum プログラムカレンダー):https://grammymuseum.org/programs/ 本記事はRecording Academy / GRAMMY Museumの公式発表および公開情報をもとに、株式会社ブラッシュミュージックのGAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)編集部が日本語で再構成したものです。原文の全訳ではなく、要約と再構成によって日本の音楽関係者向けに整理しています。 本記事はRecording Academy、GRAMMY Museum、および記載の各アーティスト・団体とは提携関係にありません。日程・価格・出演者は主催者の都合で変更される場合があります。最新情報は必ず主催者の公式発表をご確認ください。

  • 2027年グラミー、エントリー締切後の注目点 Best Asian Popが日本勢の入口になる

    2027年グラミーに向けたOnline Entry Processは8月21日に締め切られ、対象期間は8月28日で区切られる。ここから注目したいのは、新設されたBest Asian Pop Music Performanceと、投票前の聴取導線を広げるBallot Plusだ。日本のアーティストが国際的な賞レースでどう見つかるのか、GAJの視点で整理する。 OEPは締切後、ここから選考フェーズへ Recording Academyの案内では、2027年グラミーのOnline Entry Processは7月7日に始まり、8月21日までエントリーを受け付ける設計だった。対象作品のEligibility Periodは2025年8月31日から2026年8月28日まで。つまり今日で対象期間が閉じ、ここから各作品が部門・規定・提出情報の確認を経て、投票者に届く準備へ移る。 Best Asian Popは、日本語圏にとって新しい入口 2027年から新設されるBest Asian Pop Music Performanceは、K-pop、J-pop、C-popなど、アジア圏のポップ表現を対象にする新カテゴリーだ。大事なのは、単に“アジア枠”ができたという話ではない。英語圏以外の言語、地域ごとのファンベース、映像・SNS・ライブの広がりが、賞レース上でも見つけられやすくなる可能性がある。日本勢にとっては、楽曲だけでなく、作品説明、公式映像、英語資料、海外向けプロフィールを整える意味がさらに大きくなる。 Ballot Plusが変える“聴かれる前の準備” 今回のアップデートでは、Ballot Plusという補足情報の導線も重要になる。投票者が候補作品へアクセスする前に、作品の背景や参加者情報、文脈を理解しやすくなるほど、国境を越えた作品の受け取られ方は変わる。日本のアーティストに必要なのは、リリース情報、MV、クレジット、活動履歴を英語でも一貫して提示すること。GAJが扱う情報整理は、ここに直結する。 日本から狙うなら、作品情報の整備が先 海外の賞やメディアに届く作品は、音源だけで勝負しているわけではない。公式YouTube、配信リンク、英語プロフィール、ライブ実績、制作クレジット、ニュース記事への導線がそろっているほど、関係者が短時間で理解しやすい。Best Asian Popの新設は、日本の音楽にとってチャンスである一方、情報整備の差がそのまま露出の差になる。GAJは、日本語でグラミー情報を追いながら、国内アーティストが世界へ進むための実務的な視点も蓄積していく。 関連するGAJ記事 https://www.brushmusic.com/post/2027-grammys-online-entry-oep-deadlines-artist-intent https://www.brushmusic.com/post/gaj-weekly-grammy-news-20260711-new-categories-asian-pop https://www.brushmusic.com/post/sureel-symphonic-ai-music-attribution-licensing 出典 https://www.grammy.com/news/2027-grammys-how-submit-music-guide/ https://www.grammy.com/news/2027-grammys-new-categories-rule-updates/ https://www.grammy.com/news/grammys-ceo-harvey-mason-jr-2027-grammys-interview-new-categories/ GAJ メンバー登録: https://www.brushmusic.com/artist/categories/gaj-members

  • ヤバイTシャツ屋さん『THE FIRST TAKE』音源2曲同時配信 代表曲と最新曲が再点火

    ヤバイTシャツ屋さんが『THE FIRST TAKE』で披露した2曲を8月28日に同時配信。代表曲「ハッピーウェディング前ソング」と、アルバム『Magical Tank-top Parade』収録の「アルゴリズムの犬」が、動画だけでなく音源としても楽しめるようになります。一発撮りの熱量がそのまま配信で届く、朝からテンションを上げたいニュースです。 今日のポイント 『THE FIRST TAKE』で話題になった2本のパフォーマンスが、デジタルシングルとして同時に登場します。長く愛されてきた代表曲と、最新アルバムのリード曲が並ぶことで、バンドのユーモアと演奏力の両方が見えやすい展開です。 関連動画 出典 出典: https://www.thefirsttimes.jp/news/0000871724/ YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=UEwwBjcVuj8 / https://www.youtube.com/watch?v=DiCytPucC4U

  • Ayase「PLANETS」MV今夜公開 セルフプロデュースEPの物語が映像へ

    Ayaseが1st EP『dialogue』収録曲「PLANETS」のMusic Videoを、8月28日19時にYouTubeで公開します。夜の丘、光をまとった少女、スケートボードを手に進む少年というイメージが交差するドラマ仕立ての映像です。YOASOBIとはまた違う、ソロとしてのAyaseの物語性に触れられる一本になりそうです。 今日のポイント 『dialogue』はAyaseが作詞・作曲・編曲・歌唱まで手がけたセルフプロデュースEP。今回のMVは、楽曲にある対話のテーマを映像側へ広げるニュースとして注目です。 出典 出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001898.000055377.html YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=gc5Kd6lvlDg

  • Dios「火星より愛をこめて」MV公開 ライブの物語がポップスへ広がる

    Diosが新曲「火星より愛をこめて」を配信リリースし、Official Music Videoを公開しました。ワンマンライブ『Mirrored』のフィナーレで披露された楽曲で、ライブの物語世界と映像がつながっています。火星と地球というSF的な距離感に、個人的なラブソングの温度が重なる、Diosらしい美しい広がりのある一曲です。 今日のポイント Diosの新曲は、Ichika Nitoのギター、たなかの歌、ササノマリイの音像が、これまでより開放的なポップ感へ向かう流れとしても面白いです。MVから入るとライブ作品としての余韻も見えてきます。 出典 出典: https://skream.jp/news/2026/08/dios_from_mars_with_love.php YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=yDecGrZhO18

  • 大森元貴「灰色」MV公開 映画『白鳥とコウモリ』主題歌が急上昇

    大森元貴が5th Digital Single「灰色」のOfficial Music Videoを公開しました。映画『白鳥とコウモリ』主題歌として配信が始まった楽曲で、公式サイトでも8月26日のMV公開と配信スタートが案内されています。重厚なメロディ、静かな不穏さ、そして歌の奥にある物語性が、映像でさらに濃く見えてくる一曲です。 今日のポイント 大森元貴のソロ曲は、Mrs. GREEN APPLEとは違う角度で声と言葉の輪郭が立ち上がります。映画主題歌としての文脈もあり、映像から入ると曲の重さがより伝わりやすいニュースです。 出典 出典: https://motoki-ohmori.com/ 参考: https://www.thefirsttimes.jp/news/0000870597/ YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=EUCRNhQlKYc

  • MAN WITH A MISSION『鬼武者』新曲「一閃」起用 ゲーム映像とロックがぶつかる

    MAN WITH A MISSIONの新曲「一閃」が、カプコンの剣戟アクションゲーム『鬼武者 Way of the Sword』公式プロモーションソングに決定しました。公開されたプロモーション映像では、重い剣戟の動きとバンドの疾走感が一気にぶつかります。ゲーム、ロック、映像演出が同じテンションで走る、かなり相性の良いタイアップです。 今日のポイント 9月4日発売予定の『鬼武者 Way of the Sword』に向け、書き下ろし楽曲とコラボイラスト、TVCM展開が発表されています。ゲームIPと国内ロックバンドの組み合わせが、海外ファンにも届きやすいニュースです。 出典 出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005957.000013450.html 公式: https://www.mwamjapan.info/contents/1104982 YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=mQFc--nwjRs

  • Adele — 2012年 Album of the Year / 声だけで時代の温度を変えた『21』

    2012年の第54回グラミー賞で、Adeleは『21』によりAlbum of the Yearを獲得し、「Rolling In The Deep」でも主要部門を席巻しました。失恋をめぐる個人的な痛みを、世代や国境を越えるポップの共通言語へ変えたこのアルバムは、歌声、ソングライティング、プロダクションのすべてが一点に集まった歴史的な作品です。 2012年のグラミーを決定づけた声 第54回グラミー賞は、Adeleの年として記憶されています。『21』はAlbum of the YearとBest Pop Vocal Albumを受賞し、「Rolling In The Deep」はRecord of the Year、Song of the Year、Best Short Form Music Videoへ到達しました。「Someone Like You」もBest Pop Solo Performanceを獲得し、彼女は一夜で6部門を制します。派手な演出よりも、声そのものが会場と時代を動かした瞬間でした。 『21』が広げた個人の痛みと普遍性 『21』の核にあるのは、破局や怒り、未練、喪失感といった非常に個人的な感情です。しかしAdeleは、それを日記のように閉じるのではなく、ブルース、ソウル、ポップの文脈に乗せて、誰もが自分の経験として受け取れるスケールへ広げました。楽曲の強さは、技巧だけではありません。声の奥にある傷や迷いが、過剰に説明されることなく、メロディと余白の中に置かれている点にあります。 受賞経緯と時代背景 2011年から2012年にかけて、音楽シーンはデジタル配信とSNSの影響がさらに強まっていました。そのなかで『21』は、アルバムという単位の力を改めて示します。シングル単位で拡散しながらも、作品全体として聴かれる重さを持ち、世界中のリスナーに届きました。グラミーでの勝利は、売上やチャートの強さだけではなく、アルバムとしての完成度と、時代を代表する歌唱表現が評価された結果と見られます。 代表楽曲と映像 「Rolling In The Deep」は、怒りと推進力を持つ代表曲です。足元から湧き上がるようなビートとコーラスが、個人的な感情をアンセムへ変えました。一方で「Someone Like You」は、ピアノと声だけに近い構成で、Adeleの強みをさらにむき出しにします。大規模な仕掛けがなくても、メロディ、言葉、声の説得力だけで世界を振り向かせられることを証明しました。 日本のアーティストが学べる点 Adeleの成功から日本のアーティストが学べるのは、グローバルに届くために必ずしも音楽性を薄める必要はないということです。むしろ、個人の感情をどれだけ深く掘り、普遍的に翻訳できるかが重要になります。強い歌、明確なストーリー、映像で伝わる表情、そして作品単位での設計。この4つが揃うと、言語や市場の壁を越えやすくなります。 推薦試聴とGAJ視点 まずは「Rolling In The Deep」と「Someone Like You」を対で聴くのがおすすめです。前者はAdeleの突破力、後者は彼女の歌の裸の強さを示しています。GAJでは、このような受賞作品を単なる海外ニュースではなく、日本のクリエイターが世界基準の作品設計を学ぶための資料として蓄積していきます。 GAJ関連記事 https://www.brushmusic.com/post/lauryn-hill-miseducation-1999-grammy-album-of-the-year https://www.brushmusic.com/post/michael-jackson-thriller-1984-grammy-album-of-the-year https://www.brushmusic.com/post/santana-supernatural-2000-grammy-album-of-the-year https://www.brushmusic.com/post/billie-eilish-2020-grammy-big-four-sweep 参照 https://www.grammy.com/awards/54th-annual-grammy-awards/ https://live.grammy.com/artists/adele/528 https://www.grammy.com/news/album-of-the-year-grammy-winners-00s-and-10s/ GAJ メンバー登録: https://www.brushmusic.com/artist/categories/gaj-members

  • Beyoncé|アーティスト歴史 完全版 — グラミー35回受賞・99ノミネート 史上最多 / Cowboy Carter Tour 4億760万ドル / ツアー生涯17億5,000万ドル 全記録

    ▲ 2025年 第67回グラミー賞、『COWBOY CARTER』でAlbum of the Yearを受賞した瞬間(Recording Academy 公式)。キャリア初のAlbum of the Year であり、21世紀に入って黒人女性として初の同部門受賞だった。 数字で見る Beyoncé 本名: Beyoncé Giselle Knowles-Carter(ビヨンセ・ジゼル・ノウルズ=カーター)/ 1981年9月4日、米テキサス州ヒューストン生まれ グラミー賞 通算受賞: 35回 — 全アーティスト中 史上最多 グラミー賞 通算ノミネート: 99回 — 全アーティスト中 史上最多 Album of the Year 受賞: 1回(2025年 第67回『COWBOY CARTER』) Song of the Year 受賞: 1回(2010年 第52回「Single Ladies (Put a Ring on It)」) 史上最多記録の到達点: 2023年 第65回で通算32勝目。指揮者ゲオルグ・ショルティの31勝を抜き、グラミー史上最多受賞者となった 一夜の最多受賞: 2010年 第52回で6冠。女性ソロとして史上初 Destiny's Child 総売上: 6,000万枚超(2013年時点)。2005年 World Music Awards で「史上最も売れた女性グループ」として表彰 ソロ売上: 7,500万枚超(2003年のソロデビュー以降) Renaissance World Tour(2023年): 56公演 / 5億7,980万ドル Cowboy Carter Tour(2025年): 32公演 / 4億760万ドル / チケット160万枚 — Billboard Boxscore 史上最高のカントリーツアー ツアー生涯総収入: 17億5,000万ドル / Billboard 200 1位アルバム: 8作 / 2018年 Coachella ヘッドライナー(黒人女性として史上初) はじめに — 「最多」を二重に持つ唯一の存在 グラミー賞には二つの「最多」がある。最も多く受賞した者と、最も多く指名された者だ。この二つを同時に持っているのは、音楽史上ビヨンセただ一人である。通算35回の受賞は指揮者ゲオルグ・ショルティの31回を超えた数字であり、99回のノミネートは夫ジェイ・Zの88回を抜いて到達した数字だ。 ただし、その35回のうち一般部門(General Field)の受賞はわずか2回しかない。2010年の Song of the Year と、2025年の Album of the Year。彼女のキャリアは「ジャンル部門では圧倒的に評価されるが、一般部門ではなかなか通らない」という長い時間を含んでいる。この記事は、その22年間を年代順に追う。 GAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)では、グラミー賞の受賞者を「賞を獲った人」としてではなく、「音楽産業の仕組みをどう動かしたか」という視点で記録している。ビヨンセの場合、それは予告なしのリリース、映像アルバム、ツアーの収益構造、そしてジャンルの境界線という4つの領域にまたがる。 第1章|1981–1996 ヒューストン、コンテストの子ども時代 1981年9月4日、テキサス州ヒューストン生まれ。7歳で人前に立ちはじめ、地元の歌とダンスのコンテストで30以上のタイトルを獲っている。この「コンテストで勝ち続けた子ども時代」は、後年の彼女のステージ設計を理解する上で重要だ。持ち時間の中で審査員を納得させる、という訓練を10代前半で完了している。 1990年、いとこのケリー・ローランド、同級生のラターヴィア・ロバーソンとラトーヤ・ラケットとともに少女ボーカルグループを結成する。マネージャーを務めたのは父マシュー・ノウルズだった。家族が事業体として機能する構造は、この時点ですでに始まっている。 第2章|1996–2000 Destiny's Child — 名前を得るまで 1996年、グループは Destiny's Child と改名し、コロムビアと契約する。1998年のセルフタイトル・デビュー作から「No, No, No Part 2」が Billboard Hot 100 で3位に到達した。1998年から2001年にかけて4枚のアルバムを送り出し、「Bills, Bills, Bills」「Bootylicious」「Independent Women Part I」といったヒットを重ねていく。 この時期に固まったのは、「女性が自分の稼ぎと選択について歌う」という主題設定だった。曲の題材としてお金と自立を正面から扱ったことは、当時のR&Bガールグループの語彙としては新しく、後のソロキャリア全体の土台になった。 第3章|2001–2002 初グラミーと、グループの頂点 2001年、第43回グラミー賞。Destiny's Child は「Say My Name」で Best R&B Performance by a Duo or Group と Best R&B Song の2部門を受賞した。ビヨンセにとって最初のグラミーである。99回のノミネートと35回の受賞は、すべてこの夜から始まっている。 3作目『Survivor』は Billboard 200 で1位を獲得。グループとしての商業的な頂点に到達する一方で、メンバー交代とソロ活動の準備が並行して進んでいた。Destiny's Child は最終的に6,000万枚超を売り、2005年の World Music Awards で「史上最も売れた女性グループ」として表彰されている。 第4章|2003–2004 『Dangerously in Love』— ソロとしての離陸 2003年、ソロ第1作『Dangerously in Love』。リードシングル「Crazy in Love」は、チー・ライツの管楽器サンプルを軸にしたリズム設計で、その年の音の記憶そのものになった。翌2004年の第46回グラミー賞で、彼女はこのアルバムで5部門を受賞する。22歳だった。 この年、Best New Artist にはノミネートされていない(Destiny's Child での実績があるため対象外)。一般部門との距離は、キャリアの最初期から一貫していた。 ▲「Crazy in Love」(2003年、feat. JAY-Z / 公式)。ソロキャリアの起点であり、いまも彼女のライブのクライマックスに置かれ続けている一曲。 第5章|2005–2007 『B'Day』と Destiny's Child の終幕 2004年の『Destiny Fulfilled』を経て、2005年に Destiny's Child は活動を終える。ソロ2作目『B'Day』(2006年)は、映画『ドリームガールズ』の撮影と並行して短期間で制作された。俳優としての活動と音楽制作を同じ年に重ねる働き方は、以後も繰り返されるパターンになる。 この時期に重要なのは、制作の主導権が徐々に本人側へ移っていったことだ。誰がプロデュースするか、どの曲を出すか、どの映像を作るかという判断が、レーベル主導から本人主導へと移行していく助走期間にあたる。 第6章|2008–2010 『I Am… Sasha Fierce』と、一夜6冠 2008年の『I Am… Sasha Fierce』は、バラード面と攻撃的なダンス面を2枚組で分ける構成をとった。ここから「Single Ladies (Put a Ring on It)」と「Halo」が生まれる。2010年の第52回グラミー賞で、彼女は6部門を受賞した。女性ソロとして一夜での最多受賞記録である。 この夜、「Single Ladies」が Song of the Year を獲る。ビヨンセにとって初の一般部門受賞であり、以後15年間、唯一の一般部門受賞であり続けた。一方で「Halo」は Record of the Year をキングス・オブ・レオンの「Use Somebody」に、『I Am… Sasha Fierce』は Album of the Year をテイラー・スウィフトの『Fearless』に譲っている。 ▲「Single Ladies (Put a Ring on It)」(2008年 / 公式)。モノクロ・ワンカット・3人だけという極端な引き算が、逆に世界中で模倣される振付を生んだ。 第7章|2011–2012 『4』— マネジメントからの独立 2011年、父マシュー・ノウルズとのマネジメント契約を解消し、自身の Parkwood Entertainment を軸にした体制へ移行する。同年の『4』は商業的には前作までの爆発力を欠いたが、キャリア全体で見ると最も重要な転換点だった。誰の許可も要らない状態を、この時点で作っている。 「Love On Top」は、終盤で4回転調を重ねるという、ポップスとしてはほとんど採算度外視の設計を持つ。売れ線を狙わない判断ができる立場になったことが、そのまま曲の構造に出ている。 ▲「Love On Top」(2011年 / 公式)。終盤の連続転調は、歌手としての技術を作品の構造そのものに変えた例として引用され続けている。 第8章|2013 『BEYONCÉ』— 予告なしのリリースが業界を書き換えた 2013年12月13日、事前告知もシングル先行もないまま、iTunes に14曲+17本の映像を同時公開した。価格は15.99ドル、初動は80万枚超。ラジオでの事前露出も、雑誌のインタビューも、カウントダウンもなかった。 この一手が業界に与えた影響は、売上枚数よりも「リリース設計の常識が壊れた」ことにある。数か月かけて認知を積み上げる従来のロールアウトに対し、「配信プラットフォームの上では、告知期間そのものが不要になり得る」ことを実証してしまった。以後10年以上、サプライズドロップは主要アーティストの選択肢のひとつであり続けている。 日本の独立クリエイターにとっての読みどころは、ここが「予算」ではなく「権利の所在」の問題だという点だ。全曲と全映像を先に完成させ、自分の判断だけで公開日を決められる契約形態でなければ、この手は打てない。 第9章|2016 『Lemonade』— 映像アルバムの完成形 2016年4月23日、Parkwood Entertainment / Columbia から6作目『Lemonade』。HBO で1時間の映像作品として先に提示し、そのあとで音源が届くという順序をとった。米初週は約65万3,000ユニット(うち実売約48万5,000枚)で Billboard 200 の1位。 翌2017年の第59回グラミー賞で Best Urban Contemporary Album を受賞したが、Album of the Year はアデルの『25』に譲っている。授賞式でアデル本人が「この賞は『Lemonade』のものだ」と述べたことが、その後長く語られる場面になった。 ▲「Formation」(2016年 / 公式)。ニューオーリンズの風景と個人史を一本の映像に束ね、以後の彼女の作品すべてに通じる方法論を提示した。 第10章|2018–2019 Beychella と『Homecoming』 2018年、Coachella のヘッドライナーを務める。黒人女性として史上初だった。ステージは HBCU(歴史的黒人大学)のマーチングバンド文化をそのまま持ち込む構成で、フェスの1枠を文化史の提示に使い切った。会場の通称が「Beychella」に変わった。 2019年4月17日、Netflix がドキュメンタリー『Homecoming: A Film by Beyoncé』を公開する。ライブ映像そのものより、リハーサルと準備の過程を長く見せた点が特徴だった。ステージの完成度は才能ではなく工程の産物である、という主張が作品の骨格になっている。 第11章|2022–2023 『RENAISSANCE』— 史上最多受賞者へ 2022年の『RENAISSANCE』は、ハウスとディスコの系譜、とりわけ黒人とクィアのコミュニティが作った踊りの文化を主題に据えたアルバムだった。2023年2月の第65回グラミー賞で Best Dance/Electronic Album を受賞し、これが通算32勝目となる。ゲオルグ・ショルティの31勝を抜き、グラミー史上最多受賞者になった瞬間である。 受賞スピーチで彼女は、亡くなった伯父ジョニーと、このジャンルを生んだクィア・コミュニティへの謝辞を述べている。同じ夜、Album of the Year はハリー・スタイルズの『Harry's House』が受賞した。史上最多受賞者になった夜でさえ、一般部門の最上位は取れていない。 同年の Renaissance World Tour は56公演で5億7,980万ドルを記録し、当時の自己最高を更新した。 ▲「BREAK MY SOUL」(2022年 / 公式リリックビデオ)。90年代ハウスの語法を現在の労働観に接続した、『RENAISSANCE』の入口となった一曲。 第12章|2024–2025 『COWBOY CARTER』— カントリーの門を開く 2024年2月11日、スーパーボウル LVIII の中継中に「TEXAS HOLD 'EM」が予告なく公開される。同曲は Billboard Hot Country Songs で1位となり、黒人女性として同チャート史上初の首位となった。全ジャンルの Hot 100 でも2週にわたり1位を記録している。 アルバム『COWBOY CARTER』は米初週40万7,000ユニットで Billboard 200 の1位(通算8作目の首位)。同時に Top Country Albums チャートでも1位となり、1964年の同チャート創設以来、黒人女性として初の首位アルバムとなった。さらに Hot Country Songs の上位3曲を同時に独占した初の女性でもある。 2025年2月、第67回グラミー賞。『COWBOY CARTER』は Album of the Year と Best Country Album を受賞する。デビューから22年、通算99ノミネート目にして、初の Album of the Year だった。21世紀に入って黒人女性が同部門を獲るのは彼女が最初である。 ▲「TEXAS HOLD 'EM」(2024年 / 公式)。スーパーボウル中継中の不意打ちで公開され、カントリーチャートの前提を書き換えた一曲。 第13章|2025–2026 現在地 — ツアーが本体になった 2025年の Cowboy Carter Tour は32公演・160万枚で4億760万ドルを記録し、Billboard Boxscore 史上最も稼いだカントリーツアーとなった。公演数は Renaissance World Tour の56公演から大きく減っているのに、1公演あたりの収益は跳ね上がっている。 ツアー生涯総収入は17億5,000万ドルに達した。音源収入ではなく興行が本体になっている構造は、現在のトップアーティストに共通する。ただしビヨンセの場合、その興行の中身が毎回まったく別の作品として設計されている点が特異だ。 2026年8月現在、通算35受賞・99ノミネート。どちらも更新され続けている記録であり、次の指名で100の大台に乗る。 グラミー賞 主要受賞歴と Big 4 Big 4(一般部門)の到達点 Album of the Year: 2025年 第67回『COWBOY CARTER』で受賞(キャリア初) Song of the Year: 2010年 第52回「Single Ladies (Put a Ring on It)」で受賞 Record of the Year: 2026年8月時点で未受賞 Best New Artist: 対象外(Destiny's Child での実績があるため) 節目となった受賞 2001年 第43回 — Destiny's Child「Say My Name」で Best R&B Performance by a Duo or Group / Best R&B Song。初受賞 2004年 第46回 — 『Dangerously in Love』で5部門受賞。ソロとしての本格的な評価の始まり 2010年 第52回 — 一夜6冠。女性ソロとして史上初。「Halo」で Best Female Pop Vocal Performance 2017年 第59回 — 『Lemonade』で Best Urban Contemporary Album 2023年 第65回 — 『RENAISSANCE』で Best Dance/Electronic Album。通算32勝目で史上最多受賞者に 2025年 第67回 — 『COWBOY CARTER』で Album of the Year / Best Country Album ソロ・スタジオアルバム一覧 2003年『Dangerously in Love』— 2004年グラミーで5部門受賞 2006年『B'Day』 2008年『I Am… Sasha Fierce』— 2010年グラミー6冠の母体 2011年『4』— 自己マネジメント体制への移行後 第1作 2013年『BEYONCÉ』— 予告なしリリース。初動80万枚超 2016年『Lemonade』— 米初週約65万3,000ユニット 2022年『RENAISSANCE』(ACT I)— 2023年に通算32勝目をもたらす 2024年『COWBOY CARTER』(ACT II)— 米初週40万7,000ユニット。2025年 Album of the Year ※ このほかにサウンドトラック作品、Destiny's Child 名義の4作、JAY-Z との共作名義 THE CARTERS の作品がある。 GAJ 関連記事 ・Beyoncé — 2025年 Album of the Year / カントリーの境界を開いた『Cowboy Carter』 ・Adele|アーティスト歴史 完全版 — グラミー16回受賞 ・Quincy Jones|アーティスト歴史 完全版 — グラミー28回受賞・80ノミネート ・Michael Jackson — 1984年 Album of the Year / 『Thriller』 ・Kendrick Lamar — 2026年 Record of the Year /「luther」 ▶ 全キャリアを通して聴く: Beyoncé — Spotify 公式アーティストページ 出典・本記事について 受賞・ノミネート数は Recording Academy(GRAMMY.com)の公表情報、チャートおよび興行成績は Billboard の公表値、その他の経歴事項は各社報道に基づきます。数値は2026年8月時点のものです。本記事は株式会社ブラッシュミュージックが運営する GAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)による日本語解説であり、Recording Academy およびアーティスト本人・関係各社とは独立した編集物です。

  • 2027年グラミー、OEP終了後に確認したい資格審査と8月28日リリース期限

    2027年グラミー賞のオンライン・エントリー期間は、米国太平洋時間8月21日で終了しました。一方で、作品のリリース対象期間は2026年8月28日まで残っています。エントリーが終わった今、日本の制作者が見るべきポイントは、提出済み作品のクレジット、音源仕様、カテゴリー配置、そして資格審査の流れです。GAJが次の確認事項を整理します。 OEP終了後も、対象期間はまだ続く Recording Academyの公式FAQとAwards Processでは、2027年グラミー賞のリリース対象期間が2025年8月31日から2026年8月28日までと示されています。OEP自体は8月21日に締め切られたため、8月下旬に出る作品は事前準備が特に重要でした。今後は、提出済み情報が正確に審査へ進むかを確認する段階に入ります。 資格審査とカテゴリー確認のフェーズ 提出された作品は、そのまま投票用紙に載るわけではありません。Awards staffが資格を確認し、必要に応じてジャンルや部門のスクリーニングが行われます。日本から提出する場合は、アーティスト名、作品名、参加者クレジット、原盤・出版情報、配信日、ISRC/UPCなどを英語で検証できる状態にしておくことが大切です。 Artist Intentを後から見直す意味 今年の案内で重視されているArtist Intentは、単なるPR文ではなく、なぜその作品がそのカテゴリーや文脈に属するのかを説明する補足資料です。伝統楽器、言語、地域性、制作技法、コラボレーションの背景など、ジャンル判断に関わる事実を整理しておくと、今後の国際展開資料としても使いやすくなります。 GAJとしての次の視点 GAJでは、結果発表だけでなく、作品が国際的な賞の入口へ正しく届くための実務を追っていきます。応募、資格確認、投票、ノミネーション、受賞後の広報までを日本語で積み上げることで、日本のアーティストや制作チームが世界の音楽業界へ接続するための情報基盤を作っていきます。 関連GAJ記事 2027年グラミー応募、8月21日締切と要点 2027年グラミー新5部門とBest Asian Pop Music Performance グラミー、新規会員4,000人超を招待 出典 GRAMMY Awards FAQ Recording Academy Awards Process GRAMMY Online Entry Process portal GAJメンバー登録 GAJ メンバー登録: https://www.brushmusic.com/artist/categories/gaj-members

  • Adele|アーティスト歴史 完全版 — グラミー16回受賞 / Album of the Year 2回 / 『25』初週338万枚 / ミュンヘン73万人 全記録

    ▲ Recording Academy 公式「GRAMMY Rewind」より、2012年 第54回グラミー賞で「Rolling in the Deep」が Record of the Year を受賞した際のアデルの受賞スピーチ。この夜、彼女はノミネートされた6部門すべてを制した。 数字で見る Adele 本名: Adele Laurie Blue Adkins(アデル・ローリー・ブルー・アドキンス)/ 1988年5月5日、英ロンドン・トッテナム生まれ グラミー賞 通算受賞: 16回 / ノミネート: 25回 Album of the Year 受賞: 2回(『21』2012年/『25』2017年) Record of the Year 受賞: 2回(Rolling in the Deep/Hello) Song of the Year 受賞: 2回(Rolling in the Deep/Hello)— 同一式典で主要3部門を制したのは2012年と2017年の2度。この記録を持つのはアデルのみ Best New Artist 受賞: 2009年(第51回) Best Pop Solo Performance 受賞: 4回 — 同部門の最多受賞記録 アカデミー賞: 1回(2013年 第85回・主題歌賞「Skyfall」)/ ゴールデングローブ賞: 1回 / プライムタイム・エミー賞: 1回(2022年) ブリット・アワード: 12回受賞 『21』純アルバム売上: 3,000万枚超 — 21世紀に発表されたスタジオアルバムとして最大級 『25』米国初週売上: 338万枚 — Nielsen が実売集計を開始した1991年以降の最高記録 総アルバム換算ユニット: 全世界1億2,000万超(2025年9月時点) スタジオアルバム: 4作(19/21/25/30)— 18年のキャリアでわずか4作 はじめに — 4枚で18年を戦った歌手 アデルのキャリアで最初に目を引く数字は、受賞歴でも売上でもない。「スタジオアルバム4作」である。2008年のデビューから2026年の現在まで18年、彼女が世に出したフルアルバムは『19』『21』『25』『30』の4枚だけだ。同時代のポップスターの多くが2〜3年に1枚のペースで作品を出し、その間もシングル、フィーチャリング、リミックスで露出を絶やさないことを考えると、この寡作ぶりは異様に映る。 にもかかわらず、その4枚は毎回、市場の記録を書き換えてきた。『21』は21世紀に出たアルバムとして最大級の実売を記録し、『25』は米国の週間実売記録を四半世紀ぶりに更新した。グラミー賞では通算16回受賞、主要3部門の同時制覇を2度成し遂げた唯一のアーティストになった。 本稿では、この「出さないこと」と「桁違いに売れること」がどう結びついているのかを、13章に分けて年代順に追う。GAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)としての関心は、彼女の歌唱力そのものよりも、声とピアノという最小構成の音楽が、なぜ世界最大規模の産業的成功に接続しえたのかという構造にある。 第1章 1988–2006 トッテナムからBRIT Schoolへ アデル・ローリー・ブルー・アドキンスは1988年5月5日、ロンドン北部トッテナムに生まれた。母は当時18歳。父は幼少期に家を出ており、母子家庭で育っている。 転機は、公費で運営される芸術系の中等教育機関 BRIT School への進学だった。彼女は2006年にここを卒業している。同校はエイミー・ワインハウス、ジェシー・J、レオナ・ルイスらを輩出しており、英国のポップ音楽産業が「才能を偶然に任せず、教育制度として供給する」設計を持っていたことを示す施設である。日本の音楽業界がしばしば議論する「人材育成の入り口をどこに置くか」という問いに対する、ひとつの回答がここにある。 第2章 2006–2008 XL Recordings と『19』 卒業後、アデルはインディペンデント・レーベル XL Recordings と契約する。メジャー3社ではなくインディーを選んだことは、その後の彼女の作品運営に一貫して影響した。契約先が小さいほど、制作の主導権はアーティスト側に残りやすい。 デビューアルバム『19』は2008年に発表された。タイトルは、収録曲の大半を書いた年齢に由来する。以降、彼女はすべてのアルバムを「制作時の年齢」で命名していく。「Chasing Pavements」「Make You Feel My Love」が英国トップ5に入り、彼女は一夜のヒットではなく、継続的に聴かれる歌手として市場に受け入れられた。 ▲「Chasing Pavements」公式ミュージックビデオ(2008年/アルバム『19』収録) 第3章 2009 Best New Artist — グラミー初受賞 2009年の第51回グラミー賞で、アデルは Best New Artist を受賞した。同時に「Chasing Pavements」で Best Female Pop Vocal Performance も獲得している。20歳での2冠は、米国市場が英国のインディー・レーベル所属の新人をどう評価したかを示す出来事だった。 Best New Artist は、その後のキャリアが続かない受賞者も多い部門として知られる。アデルはここから、この部門の受賞者として最大級の成功を積み上げていく数少ない例になった。 第4章 2010–2011 『21』という分水嶺 2011年に発表された2作目『21』は、彼女のキャリアだけでなく、2010年代のポップ市場そのものの前提を変えた。純アルバム売上は3,000万枚を超え、21世紀に発表されたスタジオアルバムとして最大級の数字を記録している。 この時期は、音楽産業がCD市場の崩壊とダウンロード販売の頭打ち、ストリーミングの本格化のあいだで揺れていた局面である。「アルバムはもう売れない」という前提が業界内で共有されつつあったなかで、『21』はその前提を単独で覆した。制作陣にはポール・エプワース、リック・ルービン、ダン・ウィルソン、フレイザー・T・スミスらが参加している。 第5章 2011「Rolling in the Deep」と「Someone Like You」 『21』を牽引した2曲は、まったく対照的な設計を持っている。「Rolling in the Deep」はポール・エプワースとの共作で、足踏みのようなリズムとゴスペル的なコーラスを積み上げる構造。サム・ブラウン監督による公式ミュージックビデオは、2022年3月に20億再生を突破した。 ▲「Rolling in the Deep」公式ミュージックビデオ(2010年11月公開)。2012年グラミー賞で Record of the Year と Song of the Year を受賞 対する「Someone Like You」はダン・ウィルソンとの共作で、ピアノと声だけで最後まで押し切る。編曲上の仕掛けをほぼ排したこの構成は、当時のヒットチャートでは異例だった。英国で彼女初の1位を獲得し、5週にわたり首位を維持。同国およびアイルランド、イタリアで年間最多販売シングルとなった。ジェイク・ネイヴァ監督によるモノクロのミュージックビデオは2011年9月29日に公開されている。 ▲「Someone Like You」公式ミュージックビデオ(2011年)。パリで撮影されたモノクロ映像 第6章 2012 第54回グラミー賞 — 6部門完全制覇 2012年2月の第54回グラミー賞で、アデルはノミネートされた6部門すべてを受賞した。『21』が Album of the Year と Best Pop Vocal Album、「Rolling in the Deep」が Record of the Year と Song of the Year、「Someone Like You」が Best Pop Solo Performance を獲得している。一夜で6冠を達成した女性アーティストは、当時の史上2人目だった。 この夜が特筆されるのは、直前に声帯の手術を受けており、復帰後初の本格的なパフォーマンスの場でもあったからである。歌手としてのキャリアの継続そのものが不透明だった時期を経ての完全制覇だった。 第7章 2012–2013「Skyfall」とアカデミー賞 2012年10月、007シリーズ第23作の主題歌「Skyfall」が発表された。作詞作曲はアデルとポール・エプワース。翌2013年の第85回アカデミー賞で主題歌賞を受賞し、ジェームズ・ボンドの主題歌としては史上初のオスカー獲得となった。同年のゴールデングローブ賞主題歌賞、グラミー賞 Best Song Written for Visual Media も受賞している。 シンクロナイゼーション(映像への楽曲提供)が、アーティストのキャリアにとってどれほど大きな増幅装置になりうるか。「Skyfall」はその教科書的な事例である。既存曲のタイアップではなく、映画のために書き下ろした主題歌が、映画本編とは独立した資産として機能し続けている。 ▲「Skyfall」公式リリックビデオ(2012年10月18日公開) 第8章 2013–2015 沈黙の3年と「Hello」 『21』の成功から次作までに4年、「Skyfall」からも3年の空白があった。この間、アデルはほとんど公の場に出ていない。ストリーミング時代の常識では、この長さの沈黙はキャリアにとって致命的とされる。 2015年10月、事前告知をほぼ行わないまま「Hello」が公開された。グザヴィエ・ドラン監督によるミュージックビデオはモントリオール郊外で撮影され、YouTube 史上最速で10億再生に到達した。またこの曲は、米国で週間100万ダウンロードを突破した史上初の楽曲となった。 ▲「Hello」公式ミュージックビデオ(2015年/グザヴィエ・ドラン監督) 第9章 2015–2016 『25』と初週338万枚 2015年11月に発表された『25』は、米国初週で338万枚を売り上げた。Nielsen が実売集計を開始した1991年以降の最高記録であり、それまでの記録だった *NSYNC『No Strings Attached』の242万枚(2000年)を大幅に更新した。週間300万枚を超えた初のアルバムでもある。 この記録には前提がある。アデル側は『25』を発売当初、主要ストリーミングサービスに提供しなかった。聴くには買うしかない、という状態を意図的に作ったうえでの338万枚である。全世界では2,300万枚超を売り上げている。ストリーミング全盛期に「販売」で勝負した、おそらく最後の大規模な事例だった。 第10章 2017 第59回グラミー賞 — 2度目の三冠と、ビヨンセへの言葉 2017年の第59回グラミー賞で、『25』が Album of the Year と Best Pop Vocal Album を、「Hello」が Record of the Year、Song of the Year、Best Pop Solo Performance を受賞した。同一式典で主要3部門を制するのを2度経験したアーティストは、現在に至るまでアデルだけである。 この夜が記憶されているのは、受賞の内容よりもスピーチのほうである。Album of the Year を受け取ったアデルは、同部門にノミネートされていたビヨンセの『Lemonade』こそが受賞に値すると壇上で述べた。授賞式という制度に対して受賞者自身が異議を差し込んだ場面として、グラミー史に残っている。 第11章 2017–2021 離婚、そして『30』 『25』以降、再び6年の空白が置かれた。この間にアデルは離婚を経験している。2021年10月に先行シングル「Easy On Me」、11月に4作目『30』が発表された。離婚と、息子に向けた説明という主題が、アルバム全体を貫いている。 『30』は2021年の世界年間最多販売アルバムとなり、同年だけで554万枚を売り上げた。CD市場が事実上縮小しきった時期の数字として、突出している。 ▲「Easy On Me」公式リリックビデオ(2021年10月15日公開)。2023年グラミー賞 Best Pop Solo Performance 受賞曲 第12章 2022–2024 ラスベガスとミュンヘン 2022年11月18日、ラスベガスのシーザーズパレス内 The Colosseum で「Weekends with Adele」が始まった。2024年11月23日の千秋楽まで、全100公演。ワールドツアーではなく1会場に観客を呼び込む residency 型を選んだことは、移動コストと演出品質のトレードオフに対するひとつの解答だった。 2024年8月2日から31日にかけては、ミュンヘンで屋外10公演「Adele in Munich」を開催した。この公演のために専用の仮設会場が建設され、1公演あたり7万3,000人以上を収容。10公演で73万人以上を動員し、ラスベガス以外で行われた residency として最大の動員記録となった。会場には全長220メートル、面積4,159.7平方メートルの連続LEDウォールが設置されている。 「アーティストが移動するのではなく、観客を1か所に集める」という発想は、日本の興行にとっても示唆がある。全国を回る前提を外したとき、演出と会場設計にどこまで投資できるのかを、ミュンヘンの事例は具体的な数字で示している。 第13章 2023–2026 16回目のグラミーと、その先 2023年の第65回グラミー賞で、アデルは「Easy On Me」により Best Pop Solo Performance を受賞し、通算16勝目を記録した。同部門の受賞は4回目で、これは同部門の最多記録である。一方、『30』がノミネートされていた Album of the Year は、ハリー・スタイルズの『Harry's House』が受賞している。主要部門での連勝は、ここで止まった。 2022年には、CBSの特番『Adele One Night Only』でプライムタイム・エミー賞(Outstanding Variety Special (Pre-Recorded))を受賞した。グラミー、オスカー、エミーを揃えたことで、EGOT(4賞制覇)まで残すはトニー賞のみとなっている。 ミュンヘン公演とラスベガス residency の終了以降、アデルは活動の頻度を大きく落としている。過去2回の空白がいずれも4〜6年だったことを踏まえれば、この静けさ自体は彼女のキャリアにおいて例外ではない。 グラミー賞 主要部門 受賞歴 2009年 第51回 — Best New Artist / Best Female Pop Vocal Performance「Chasing Pavements」 2012年 第54回 — Album of the Year『21』/ Record of the Year「Rolling in the Deep」/ Song of the Year「Rolling in the Deep」/ Best Pop Solo Performance「Someone Like You」/ Best Pop Vocal Album ほか、ノミネート6部門を完全制覇 2013年 第55回 — Best Pop Solo Performance「Set Fire to the Rain (Live)」 2014年 第56回 — Best Song Written for Visual Media「Skyfall」 2017年 第59回 — Album of the Year『25』/ Record of the Year「Hello」/ Song of the Year「Hello」/ Best Pop Solo Performance「Hello」/ Best Pop Vocal Album 2023年 第65回 — Best Pop Solo Performance「Easy On Me」(通算16勝目) Big 4(Album of the Year / Record of the Year / Song of the Year / Best New Artist)の内訳は、Album of the Year 2回、Record of the Year 2回、Song of the Year 2回、Best New Artist 1回の計7回。主要4部門すべてを制した数少ないアーティストのひとりである。 スタジオアルバム 全4作 『19』(2008年)— デビュー作。「Chasing Pavements」「Make You Feel My Love」収録。2009年 Best New Artist の礎 『21』(2011年)— 純アルバム売上3,000万枚超。2012年 Album of the Year。「Rolling in the Deep」「Someone Like You」「Set Fire to the Rain」収録 『25』(2015年)— 米国初週338万枚(Nielsen 集計史上最高)。全世界2,300万枚超。2017年 Album of the Year。「Hello」収録 『30』(2021年)— 2021年の世界年間最多販売アルバム(554万枚)。「Easy On Me」収録 関連記事・リンク Adele — 2012年 Album of the Year / 失恋を世界標準に変えた声 Quincy Jones|アーティスト歴史 完全版 — グラミー28回受賞 Frank Sinatra|アーティスト歴史 完全版 — Album of the Year 3回受賞 Beyoncé — 2025年 Album of the Year / カントリーの境界を開いた『Cowboy Carter』 Spotify で Adele を聴く 出典・本記事について 本記事は Recording Academy 公式(grammy.com)を一次ソースとし、Billboard、The Hollywood Reporter、Britannica、IQ Magazine 等の報道を参照して構成しています。受賞歴・売上・動員数は各発表時点の数値です。冒頭映像は Recording Academy 公式チャンネルの「GRAMMY Rewind」シリーズ、本文中の映像は各アーティストの公式チャンネルによるものです。 GAJ(ジ・アソシエーション・ジャパン)は、株式会社ブラッシュミュージックが運営するグラミー賞・国際音楽賞に関する情報発信プロジェクトです。本記事は Recording Academy および関係各社と提携・提携関係にあるものではありません。

  • KZ and tella / Take My Chance

    Owner Infomation LINKFIRE:https://kzlink.lnk.to/theirstory ISRC:JPP532200046 LABEL : ONGR RELEASE:2022 / 11 / 30 MAIN GENRE:Hip Hop FROM:Osaka DOWNLOAD:Master 24bit 48KHz (高音質マスター音源でのご試聴依頼はお問い合わせください) SOUND SHARES:NO ENTRY Streaming & Funding

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