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音楽著作権使用料はどう分配されるのか|JASRACの年4回分配と原盤権との違い

  • 8月17日
  • 読了時間: 4分

「自分の曲が使われているはずなのに、入金がない」「分配明細を見ても、何の項目なのかわからない」。音楽著作権使用料の分配について、私たちが相談を受けるときの入り口はたいていこの2つです。仕組みを一度整理しておかないと、そもそも受け取り漏れが起きていることにも気づけません。ここでは、株式会社BRUSH MUSICが権利まわりの相談で最初に説明することが多い論点を、順を追ってまとめます。

音楽著作権使用料の分配明細を確認するイメージ
音楽著作権使用料の分配明細を確認するイメージ

まず「著作権」と「原盤権」を分ける

最初につまずくのがここです。ひとつの楽曲には、性質の違う権利が二重にかかっています。

  • 著作権:作詞・作曲によって生まれる権利です。権利者は作詞者・作曲者と、その管理を委ねられた音楽出版社になります。

  • 著作隣接権(原盤権):レコーディングされた音源そのものにかかる権利です。権利者は、原則として制作費を負担した原盤制作者やレコード会社です。

配信サービスから流れ出るお金は、この2つの経路に分かれて別々に動きます。作家として受け取る取り分と、原盤の権利者として受け取る取り分は、金額も支払元も支払時期も違います。「ストリーミングの取り分」として語られる話の多くは、どちらの権利の話なのかが曖昧なまま進んでいます。数字を比較する前に、まずどちらの話をしているのかを確定させてください。

どこを経由して権利者に届くのか

著作権のほうは、多くの場合、JASRACやNexToneといった著作権管理事業者が利用者から使用料を徴収し、権利者へ分配します。音楽出版社と契約していれば、出版社を経由して作家に届くのが一般的な流れです。

原盤権のほうは、この管理事業者を通りません。配信事業者やレコード会社から、個別の契約にもとづいて直接支払われます。管理事業者に登録したから原盤の収益も自動的に回収される、ということはありません。ここを取り違えたまま「登録したのに入ってこない」となっている例は少なくありません。

JASRACの分配は年4回

JASRACの定期分配は、3月・6月・9月・12月の年4回です。年2回だと理解している方が時々いますが、そうではありません。詳細は JASRACの分配のしくみ で公開されています。

実務で効いてくるのは、分配月と、その原資になった利用期間がずれることです。たとえば2025年6月の分配は、主に2024年10月から2025年3月の利用にもとづくものでした。曲が使われてから入金されるまでに、数か月から1年近い間隔があくことは珍しくありません。「先月テレビで流れたのに入っていない」の多くは、まだ該当する分配期が来ていないだけです。資金繰りを見込むときは、この時間差を前提に置く必要があります。

「使用料の何割が作家に入るか」に一律の答えはない

よくある説明に「使用料のおよそ半分が作詞者・作曲者に入る」というものがあります。これは正確ではありません。実際には二段構えになっています。

一段目は、管理事業者が分配額から差し引く管理手数料です。この実施料率は、演奏等・放送等・インタラクティブ配信・業務用通信カラオケといった利用区分ごとに別々に定められています。JASRACはこの料率を毎年見直しており、区分によって引き下げが行われた年もあります。つまり一律の数字はなく、どの区分で使われたかによって変わります。

二段目は、そこから先の作家と音楽出版社の取り分です。これは管理事業者ではなく、個別の著作権契約で決まります。管理手数料の話と、出版社との配分の話は別のものです。

「再生◯回でいくら」といった単純な掛け算の試算をよく見かけますが、この二段構造と、著作権と原盤権の区別を飛ばしているため、実態とはずれます。金額の見込みを立てるなら、自分の契約書の配分率から逆算するほうが確実です。

受け取り漏れを防ぐために確認すること

制度を学ぶより先に、手元の書類を確認したほうが早く解決することがほとんどです。次の5点を見てください。

  1. 作品届の内容が最新か。作詞・作曲・編曲のクレジットと持ち分が、実際の制作実態と一致しているか。

  2. 管理を委託している利用形態の範囲。演奏・放送・配信などのどこまでを事業者に委ねているか。

  3. 音楽出版社との契約の配分率、契約期間、そして管理が及ぶ地域。

  4. 海外で使われた分の扱い。現地の管理団体との相互管理契約を経由して戻るため、国内よりさらに時間がかかります。

  5. 原盤側の契約書。原盤権を誰がどの割合で保有し、どう精算されるのかが書面になっているか。

順番を間違えないこと

分配で揉める案件は、制度の理解不足よりも、書面がないことに起因している場合が多いです。とくに共作の持ち分は、曲ができた直後に決めておかないと、収益が発生してから交渉することになります。金額が見えてから配分を決める順番になると、話は確実にこじれます。曲が完成した時点で持ち分を文書に残す。地味ですが、これが最も効きます。

なお本記事は一般的な情報提供であり、個別の事案についての助言ではありません。株式会社BRUSH MUSICは法律事務所ではなく、具体的な契約や紛争については弁護士等の専門家にご相談ください。

権利関係の整理や管理体制づくりのご相談は BUSINESS SUPPORT から、アーティスト活動全般については MUSIC AGENCY から承ります。

 
 
 

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