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第4回グラミー賞 総合部門を深堀り — 「Moon River」が ROTY と SOTY、ジュディ・ガーランドが女性初の AOTY | GAJ ヒストリー

1 日前
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第4回グラミー賞は1962年5月29日に開かれた。対象は1960年12月1日から1961年11月30日までにリリースされた録音(GRAMMY.com の授賞回ページの記載による)。この回から、アルバム・オブ・ザ・イヤーは「クラシック以外」と「クラシック」の2つに分けて選ばれるようになった。

総合部門(General Field)の主役は、映画『ティファニーで朝食を』のために書かれた1曲と、カーネギー・ホールの一夜を収めたライブ盤だった。アルバム・オブ・ザ・イヤー(AOTY)、レコード・オブ・ザ・イヤー(ROTY)、ソング・オブ・ザ・イヤー(SOTY)、最優秀新人賞の4部門を、受賞作とノミネートから読み解く。

アルバム・オブ・ザ・イヤー:Judy Garland『Judy At Carnegie Hall』

クラシック以外の AOTY は、ジュディ・ガーランド(Judy Garland)のライブ盤『Judy At Carnegie Hall』。1961年のカーネギー・ホール公演を収めた録音で、女性アーティストが AOTY を受賞したのはこれが初めてだった。ガーランドは同じ作品で女性ソロ・ボーカル部門も受賞し、アルバムはジャケット(Jim Silke)と録音技術(Robert Arnold)の部門でも賞を獲った。1枚のライブ盤が4つの部門に名前を残したことになる。

ノミネートは次の6作。

  • ★ Judy Garland『Judy At Carnegie Hall』

  • Henry Mancini『Breakfast At Tiffany's』

  • Ray Charles『Genius + Soul = Jazz』

  • Johnny Mann, Si Zentner『Great Band With Great Voices』

  • Nat "King" Cole『The Nat "King" Cole Story』

  • John Green『West Side Story』(映画サウンドトラック)

6作のうち2作が映画のサウンドトラック。スタジオで作り込んだ作品やサントラを抑えて選ばれたのは、観客の前で一度きりに録られたステージだった。なお、クラシックの AOTY はストラヴィンスキーが自作を指揮した『Stravinsky Conducts 1960: Le Sacre Du Printemps; Petrouchka』が受賞している。

レコード・オブ・ザ・イヤー:Henry Mancini「Moon River」

ROTY はヘンリー・マンシーニ(Henry Mancini)の「Moon River」。映画『ティファニーで朝食を』(Breakfast at Tiffany's)のために書かれた曲を、マンシーニが自らのオーケストラとコーラスで録音したものだ。マンシーニは第1回の AOTY 受賞者でもあり、この夜は「Moon River」で ROTY・SOTY・編曲賞を、映画のサウンドトラックで2部門を受賞し、計5部門を手にした。

  • ★ Henry Mancini「Moon River」

  • Jimmy Dean「Big Bad John」

  • Dave Brubeck「Take Five」

  • Frank Sinatra「The Second Time Around」

  • Si Zentner「Up A Lazy River」

候補には、5拍子で書かれたデイヴ・ブルーベックのジャズ「Take Five」や、カントリー部門を受賞したジミー・ディーンの語り調の「Big Bad John」も並んだ。ジャズ、カントリー、ビッグバンドと幅の広い候補の中から、映画と一緒に届いたオーケストラの録音が選ばれた。

ソング・オブ・ザ・イヤー:「Moon River」(作曲 Henry Mancini/作詞 Johnny Mercer)

作家に贈られる SOTY も「Moon River」。作曲のマンシーニと、作詞のジョニー・マーサー(Johnny Mercer)の2人が受賞した。

  • ★「Moon River」— Henry Mancini, Johnny Mercer

  • 「A Little Bitty Tear」— Hank Cochran(歌:Burl Ives)

  • 「Big Bad John」— Jimmy Dean(歌:Jimmy Dean)

  • 「Lollipops And Roses」— Tony Velona(歌:Jack Jones)

  • 「Make Someone Happy」— Betty Comden, Adolph Green, Jule Styne(歌:Perry Como)

「Lollipops And Roses」を歌ったジャック・ジョーンズは、この夜の男性ソロ・ボーカル部門を受賞している。SOTY は曲を書いた人に、ROTY は録音を作った人に贈られる。同じ「Moon River」が両方を獲ったことで、作家とレコーディングの両面から評価された1曲になった。

最優秀新人賞:ピーター・ネロ

最優秀新人賞はピアニストのピーター・ネロ(Peter Nero)。候補には歌手、コーラス・グループ、コメディアンが並んだ。

  • ★ Peter Nero

  • The Lettermen

  • Ann-Margret

  • Dick Gregory

  • Timi Yuro

前回はコメディアンのボブ・ニューハートが受賞した部門で、この回もコメディアンのディック・グレゴリーが候補に入っている。歌い手と演奏家と話芸の人が同じ枠で比べられるのが、この時期の新人賞だった。

GAJ 視点:1曲が持つ「2つの権利」

第4回グラミーの総合部門からは、日本の音楽にとって次の三つが読み取れる。

  • 映画の曲が2年続けて ROTY と SOTY を獲った(第3回の「The Theme From A Summer Place」と「Theme From Exodus」に続き、第4回は「Moon River」)。映像作品と一緒に届く曲の強さは、アニメや映画の主題歌から海外に広がる日本の音楽にもそのまま通じる。

  • SOTY は作家に、ROTY は録音に贈られる。曲を書いた人の権利と、録音を作った人の権利は別のもので、同じ曲でも評価のされ方が違う。自分の作品がどちらの権利で動いているかを把握しておくことが、海外に出るときの基本になる。

  • AOTY はスタジオ盤ではなくライブ録音だった。公演そのものを作品として残し、届けるという選択肢がある。

一本の映画のために書かれた曲が、作家と録音の両方で最高の評価を受けた。曲を書くこと、録音すること、映像と組み合わせて届けること。その全部がつながったときに何が起きるかを、第4回は示している。

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発行:株式会社BRUSH MUSIC / GAJ ヒストリー

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