【第48回グラミー賞】U2『How to Dismantle an Atomic Bomb』5部門制覇 — そして Madonna が Gorillaz とバーチャル共演『Hung Up』
- 8月16日
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2006年2月8日、ロサンゼルス・ステープルズセンター。U2の『How to Dismantle an Atomic Bomb』が Album of the Year、Song of the Year(『Sometimes You Can't Make It on Your Own』)、Best Rock Album など計5部門を制覇。番組オープニングでは Madonna がアニメ・バンド Gorillaz とバーチャル/リアルのハイブリッド共演で『Hung Up』『Feel Good Inc.』を披露し、CG/アバター時代のライブ・パフォーマンスの幕開けを告げた歴史的夜となった。
出来事の背景
U2 の11作目『How to Dismantle an Atomic Bomb』(2004年11月発売)は、Bono が父Bob Hewsonの死を悼む個人的色合いの濃いアルバム。9/11、イラク戦争、宗教的紛争への政治的メッセージを含みつつ、Brian Eno と Daniel Lanois の長年のコラボレーターに加え、Steve Lillywhite を共同プロデューサーに迎えてサウンドを強化。
シングル『Vertigo』『Sometimes You Can't Make It on Your Own』『City of Blinding Lights』は世界的ヒットとなり、Vertigo Tour は2005-2006年の最高グロス・ツアーとなった。
Album of the Year 候補は U2、Mariah Carey『The Emancipation of Mimi』、Paul McCartney『Chaos and Creation in the Backyard』、Kanye West『Late Registration』、Gwen Stefani『Love. Angel. Music. Baby.』。U2 とMariah Carey の二択が主要予想だった。
受賞の瞬間 / 出来事の詳細
U2 は前回(2002)『All That You Can't Leave Behind』からのAOTY 連続受賞ではないものの、グラミー史上Best Rock Album を最多受賞するバンドの一つとなる。Bono のスピーチは、人道支援活動 ONE Campaign とアフリカ債務帳消し運動への賛同を訴える政治的メッセージで会場を引き締めた。
オープニングで Madonna がアニメ・バンド Gorillaz と共演した『Hung Up』『Feel Good Inc.』は、ホログラフィック技術を活用したバーチャル/リアルのハイブリッド・パフォーマンス。2D-D、Murdoc、Russel、Noodle のアバターがステージ上に投影され、リアルの Madonna と踊る構成は、後の Tupac ホログラム再生(Coachella 2012)、初音ミク共演、ABBA Voyage、Travis Scott × Fortnite に至る『バーチャル・ライブ』時代の起点として記録された。
文化的・産業的意義
U2 のAOTY は、政治的メッセージを抱えるロックバンドが業界最高賞を取り得る最後の例の一つとなった。これ以降ロックジャンル全体が AOTY から遠ざかり、2011年 Arcade Fire の番狂わせを除いて、ロックバンドのAOTY 受賞は事実上消滅していく。U2の戴冠は、ロック黄金時代の終焉を象徴する出来事でもあった。
Madonna × Gorillaz の共演は、デジタル時代のパフォーマンス設計を一変させた。アバター/CGキャラクターと人間がリアルタイムで共演する技術は、その後20年で完全に成熟し、現在ではVR、AR、3Dスキャン、リアルタイム・モーションキャプチャを駆使したライブ演出が業界標準となっている。Gorillaz が示したのは『ブランドとしてのキャラクター』の永続性であり、後のVTuber、ホロライブ、初音ミク文化との接点も大きい。
GAJ 視点 / 日本の音楽業界への示唆
GAJ視点では、Gorillaz × Madonna 共演は『日本のバーチャルアーティスト文化』をグローバル市場が認知する上での重要な前例。初音ミク(2007)、キズナアイ(2016)、ホロライブ(2017)、にじさんじ、AdoのMVキャラクター戦略まで、日本はこの分野で世界最先端を走ってきた。グラミー的な賞典礼での「バーチャル × リアル」演出を、日本の音楽授賞式やフェスにも本格導入する時期に来ている。
また、Bono のスピーチが示した『アーティストが社会課題と接続する作法』は、日本のアーティストがグローバル発信する際の必修科目。慈善活動・人道支援への関与を音楽キャリアの不可分の一部として設計する欧米モデルから、日本の業界は学ぶ余地が大きい。
発行:株式会社BRUSH MUSIC / GAJ ヒストリー


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