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第2回グラミー賞 総合部門を深堀り — シナトラ『Come Dance With Me』と「Mack The Knife」、初代新人賞ボビー・ダーリン | GAJ ヒストリー

10月15日
読了時間: 4分

1959年11月29日、NBC の「Sunday Showcase」枠でグラミー賞の特別番組が放送された。第2回グラミー賞は、グラミーが初めてテレビに乗った回だ。受賞者はロサンゼルスとニューヨークで開かれた非公開の夕食会で発表され、出席者はそのあとで番組の放送を見たという。司会はメレディス・ウィルソン(Meredith Willson)。対象は1959年1月1日から8月31日までにリリースされた録音で、第1回(1959年5月)からわずか半年あまりでの開催だった。

この回で最優秀新人賞(Best New Artist)が新設され、総合部門(General Field)が初めて4部門そろった。のちに「Big 4」と呼ばれる形の出発点だ。本稿では、アルバム・オブ・ザ・イヤー(AOTY)、レコード・オブ・ザ・イヤー(ROTY)、ソング・オブ・ザ・イヤー(SOTY)、最優秀新人賞の4部門を、受賞作とノミネートから読み解く。

アルバム・オブ・ザ・イヤー:Frank Sinatra『Come Dance With Me』

第1回で『Come Fly With Me』と『Only The Lonely』の2作が候補入りしながら受賞を逃したフランク・シナトラ(Frank Sinatra)が、半年後に AOTY を手にした。ビリー・メイ(Billy May)の編曲によるスウィング作で、シナトラは表題曲で最優秀男性ボーカル・パフォーマンスも受賞。ビリー・メイも同作で最優秀編曲賞を獲り、1枚のアルバムが3部門を制した。

ノミネートは次の5作。

  • ★ Frank Sinatra『Come Dance With Me』

  • Harry Belafonte『Belafonte At Carnegie Hall』

  • Henry Mancini『More Music From Peter Gunn』

  • Van Cliburn, Kiril Kondrashin『Rachmaninoff Piano Concerto No. 3』

  • Robert Russell Bennett『Victory At Sea, Vol. I』

前回の受賞者マンシーニは『Peter Gunn』の続編で、ヴァン・クライバーンは2年続けて候補入りした。ハリー・ベラフォンテはカーネギー・ホールでのライブ盤で、ロバート・ラッセル・ベネットはテレビのドキュメンタリー・シリーズ『Victory At Sea』の音楽で名を連ねた。ライブ録音、クラシック、テレビの音楽。第1回と同じく、ジャンルを横断した顔ぶれだった。

レコード・オブ・ザ・イヤー:Bobby Darin「Mack The Knife」

ROTY はボビー・ダーリン(Bobby Darin)の「Mack The Knife」。もとはクルト・ヴァイルとベルトルト・ブレヒトが1928年に書いたドイツ語の劇『三文オペラ』の一曲で、英語の歌詞で歌われたダーリンのスウィング版が1959年の大ヒットになった。

  • ★ Bobby Darin「Mack The Knife」

  • Elvis Presley「A Fool Such As I」

  • Frank Sinatra「High Hopes」

  • Andre Previn「Like Young」

  • The Browns「The Three Bells」

ザ・ブラウンズの「The Three Bells」も、フランスのシャンソン「Les trois cloches」に英語の歌詞を付けた曲だ。5作のうち2作が、ヨーロッパの歌を英語で歌い直した録音だった。前回の ROTY がイタリア語のままの「Volare」だったことと並べると、言葉の壁の越え方が一つではないことが見えてくる。

ソング・オブ・ザ・イヤー:「The Battle Of New Orleans」(作詞・作曲 Jimmy Driftwood)

作家に贈られる SOTY は、ジミー・ドリフトウッド(Jimmy Driftwood)の「The Battle Of New Orleans」。1815年のニューオーリンズの戦いを題材にした曲で、ジョニー・ホートン(Johnny Horton)の録音は同じ夜に最優秀カントリー&ウェスタン・パフォーマンスを受賞している。

  • ★「The Battle Of New Orleans」— Jimmy Driftwood

  • 「High Hopes」— Sammy Cahn, Jimmy Van Heusen

  • 「I Know」— Edith Lindeman, Karl Stutz

  • 「Like Young」— Andre Previn, Paul Francis Webster

  • 「Small World」— Stephen Sondheim, Jule Styne

スティーヴン・ソンドハイムとジュール・スタインの「Small World」はブロードウェイ・ミュージカル『ジプシー』の曲で、ジョニー・マティスが歌った。名だたるソングライターを抑えたのは、アメリカの歴史を物語る素朴な一曲だった。

最優秀新人賞:初代はボビー・ダーリン

この回で新設された Best New Artist の初代受賞者もボビー・ダーリン。最初の新人賞の受賞者が、同じ夜に ROTY も獲ったことになる。

  • ★ Bobby Darin

  • Edd Byrnes

  • Mark Murphy

  • Johnny Restivo

  • Mavis Rivers

GAJ 視点:言葉の越え方は一つではない

第2回グラミーの総合部門からは、日本の音楽にとって次の三つが読み取れる。

  • 第1回は原語のままの曲が、第2回は英語で歌い直された欧州の曲が ROTY を競った。母語のまま届ける道と、現地の言葉で歌い直す道。日本の曲にも両方の選択肢がある。

  • AOTY のアルバムは編曲賞も受賞した。歌い手だけでなく、編曲やエンジニアリングを含む制作チーム全体が評価の対象になる。

  • 新人賞が生まれ、新しい才能を顕彰する枠ができた。総合部門は作品だけでなく、アーティストを世に紹介する場にもなった。

テレビ放送が始まり、新人賞が生まれた第2回は、グラミーが「業界の賞」から「多くの人が見る賞」へ踏み出した回でもある。その最初の年に評価されたのは、国や言葉をまたいで届いた歌だった。

関連映像

Bobby Darin「Mack The Knife」── 第2回 ROTY 受賞曲(1959年5月31日『エド・サリヴァン・ショー』出演時)

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発行:株式会社BRUSH MUSIC / GAJ ヒストリー

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