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Shun Marunoが考える同年代とのシンパシーとソロアーティストとしての音楽観

福岡県出身のビートメイカー/アーティスト・Shun Maruno。 Rin音やクボタカイなど同年代のラッパーのバックDJやビート提供、そして自身も今年1月にリリースした「アウトライン」などソロアーティストとして活動を進めている。 本インタビューでは、そんな20代前半の同年代と共に進んでいる現在のプロセスや自身の音楽観までShun Marunoの今を紐解いた。

文・kyotaro yamakawa 写真・ibuki nishiura

最近は周りが求めてる物を作らないといけないのかなって、環境が変わって作る姿勢が変わりました。


・まずは先日の「アウトライン」のリリースおめでとうございます。キャリアの振り返りから聞いていきたいのですが、HIPHOP,ラップミュージックと触れ合った原体験は何ですか? 「ありがとうございます。 最初はクラブで遊んでいた時ですね。軽いノリで地元の箱に初めて行きました。その時は確かウェッサイのイベントで、2Pacの"California Love"とかが流れていて。ああいう曲を聴いて『何かHIPHOPって面白いな』って思って始めました。 それまではバンドマンをやってたんですけど、辞めていく人も沢山見てきて。ちょうど暇だった時に友達に誘われてクラブに行きましたね。」

・トラックの制作を始めたきっかけは何ですか? 「一緒にバンドをやってた人も辞めて何もやることがなくなった時に、別に歌わなくても音楽作って楽しもうって思って始めました。最初は友達とかに『これで歌ってよ』って言って、トラック渡してたりしてましたね。」

・その当時ってRin音さんはもう周りにいましたか? 「Rin音と出会うのはもう少し後ですね。トラック作り始めて3年後とかです。 Rin音との初対面は、それこそ地元のクラブでした。僕は福岡と熊本の県境辺りにある大牟田って所にいて、Rin音は上の方にある宗像って所にいたんですね。で、こっちに遊びに来てたRin音が『Rin音って言います』みたいな感じで挨拶してきました(笑)。」


・その出会いからバックDJを務める現在まで、彼とのキャリアはどういうプロセスがありましたか? 「Rin音と初めて曲を作ったのが、"sleepy wonder"っていう曲で。当時から気が合うとは思っていましたね。その後に"snow jam"とか出始めてRin音は売れていくわけですけど、その時は素直に凄いと思いながら第三者目線で見てました。 バックDJは『Shun君、DJしない?』って普通に聞かれたので、『じゃあ、やる』って即答しました(笑)。そんな感じで今やらせてもらってます。

そもそもDJを始めたのは、元々クボタカイの後ろにつくために始めたのが理由で。

DJをやった方が自分にも為になるんじゃないかなって思ってやってました。」

・昨年は2人をよくテレビの音楽番組でも拝見しました。急に放り込まれた感覚だったりするのかなって思いますけど、実際に出演してみていかがでしたか? 「メインはRin音なので、やはりそこは若干気を使いつつ円滑に進むように心がけましたね。場の空気を変えないようにしていました。」

・実際にそうやってステップアップしていく中で、環境の変化などは感じましたか? 「最初は自分達の好きなように音楽を作りながら、ただそれをやるだけで良かったんですけど。最近は周りが求めてる物を作らないといけないのかなって、環境が変わって作る姿勢が変わりました。そこに振り切るのは良くないけど、周りの事も頭の片隅には入れとかないとっていうのは思います。 硬くない話での変化でいうと、ちょっと太ってきました(笑)。」 ・スタッフやファンの方達も目に見えて増えてきたからこそ思う事なのかもしれませんね。  太ってきたっていうのは、幸せ太りっていう解釈で大丈夫ですか?(笑) 「…13キロぐらい太りました(笑)。たしか去年は顎のラインがシュッとしてたんですけど、今は下見るだけで肉がついちゃうっていう。今マスクつけてて良かったなって思ってます(笑)。」




・昨年から今年にかけて同世代の活躍が目覚ましいですけど、Shunくんはシンパシーを感じる部分はありますか? 「みんな何かは感じてるんですけど、上手く言葉にはできないっていうか。1つ言えるのは僕は現場型じゃ無いっていう事ですかね。ライブって意味ではラッパー勢は勿論みんな現場型なんですけど。制作の面では遠くにいてもやれちゃうスタンスがあると思います。」 ・アーティストかどうか関わらずリスナーの方も含めて、もう少し広い意味での同世代にはまた違うシンパシーを感じることもあるのでしょうか? 「リスナー含めてだったら、より複雑になるかもしれない。僕らのリスナーって恐らくがっつりHIPHOP好きっていう人が多いわけじゃなくて。何だろう、もう少し文学的っていうか。 BASIさんとか唾奇さんが築き上げていったメロウなヒップホップっていうものがあると思うんです。そこに、より文学的な要素を足した感覚だからこそ若い人達やサブカル系のオシャレな物が好きな人達にも響いてウケた所があるんじゃないかなって思いますね。なので割と所謂ストリートっぽい人達はライブでは見た事ないですね。」 ・なるほど、その渦中にいるShunくんの客観的な視点が面白かったです。  もう一つ同世代を取り巻く環境として、昨年数々のブームを起こしたTikTokという必殺技みたいな仕組みが出来つつあるとは思うんですが、Shunくん的にこれはどの様に見ていますか? 「僕としてはコンテンツに対しての否定は無いです。ただ、僕には余り向いてないとは思います。使い方が上手な人はTiktokに向けてどんどん曲を上げていくっていうのも一つの手だし、人それぞれなのかなって思います。」




 

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死ぬまでって言ったら大袈裟ですけど、長い間聴いてもらえる曲を作りたいですね。

・ここからはShunくんのアーティスト性について聴いていこうと思うんですが、ご自身の世界観を作る上で影響を受けたアーティストはいますか? 「村上春樹さんの小説ですかね。結構スパンスパンって端的には言うんですけど、遠回しに伝えるのが好きな印象があって。それを読んで、ありきたりな歌詞でも組み合わせ次第で違う意味の言葉も作れるんじゃいかなって思いました。それを試行錯誤した結果が"アウトライン"に出てたりするのかなって。隠し要素で意味合いを付けてたりします。」

・直接的に描かれていないとの事なので細かく言及はしなくてもいいのですが、"アウトライン"はどの様なテーマで制作されたのでしょう? 「大きなテーマはありますね。これは幸福論の話になるんですけど、幸せって見つける物じゃなくて今あるものに線引きして生まれる物っていうメッセージをリリックの中にいくつか散りばめています。コロナとかこういうご時世になってしまって何も楽しくないと思う人って結構いるとは思うんですけど、その部分を意識して聴いてみてほしいですね。」 ・タイトルの意味も合点がいくテーマですね。  僕としてはリリックも勿論ですが、まず先にShunくんの声含めたサウンドの質感がとても好みでした。ただこれってリスナー側としても上手く表現できずに、最近だとどうしても"チル系","エモい"って抽象的な言葉で述べてしまうこともよく散見します。この辺りはご自身ではどう感じていますか? 「"チル系"はまだ良いとしても、"エモい"は僕は少し苦手ですね。それは感情の表現の放棄なのかなって思ってしまいます。一括りに"エモい"と言えてしまうわけじゃないですか。 ただこの前、Twitterに同じような事を書いたらリスナーの子が謝ってきた事とかもあるので申し訳なかったです。」 ・今一番刺激を受けている人っていますか? 「最近は宗藤竜太さんですね。弾き語りのアーティストで、"いじわる”っていう曲が好きで。結構音楽って何でも盛大にしがちじゃないですか。面白いものを作らないと面白いって感じられないというか。この曲はそうじゃなくて、一般的な言い回しで普通の事を伝えてる曲なのに何でか僕は凄い惹かれちゃって。ロジカルな部分じゃなくて、クサい言い方になりますけどソウルやバイブスが感じれました。」 ・今のShunくんが作っている音楽に対して、ご自身が思うアイデンティティはどういう部分にありますか? 「結構ざっくりしてる事ならあります。前提としてあるのは、新しいものを作る事ですね。でもそれって結構難しくて。音楽ってコードとかリズムとかこれが気持ち良いって決められてる部分があったりするので。ただ、その2つをミックスして自分の曲に仕上げていった物が結果的に新しい物に変わってくるとは思っています。なので、新しい物を常に提供したいっていう意識は大事にしてますね。あと死ぬまでって言ったら大袈裟ですけど、長い間聴いてもらえる曲を作りたいですね。」 ・凄い新鮮ですし、希望が見えるコメントに感じました。 今ってジャンルに対してのこだわりはありますか? 「ジャンルに対しては無いですね。僕が作ってるものってHIPHOPの枠からはみ出したものなので、こだわりは無いですね。ただルーツにHIPHOPはあって、それを全部捨ててポップスに寄るのもまた違うので持ち得るものも使って自分のサウンドを作っていきたいですね。」 ・挑戦したいジャンルなどはありますか? 「アニソンですかね。アニメが好きで暇な時によく見るんですけど、やっぱ凄いなって思ってます。理論ごっちゃごちゃな感じが面白そうっていう(笑)。結構バカみたいな動機ですけど、やってみたいですね。」 ・ソロアーティストとしての今後の展望などありますか? 「音楽一本で食べていくってなったら一番は売れるという事より自分の曲がみんなが認めてくれるという形で残していく事の方が理想っていうか。そこが辿り着く場所なのかなっていうのは思いますね。音楽自体はずっとやっていきたいので若い間に表に出ておいて、ちょっと無理だなって思ったら裏方でも何かしら関われるようにはしていきたいです。」 長い目で見てShunくんの音楽を楽しめる事を期待しております。  最後に、ファンの方や読者の方へメッセージをお願いしてもいいですか? 「何だろう…ふざけていいですか?(笑)。  ……植物を育てたら、心が凄く豊かになるからみんな育てた方が良いです。終わりです!」








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