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Kendrick Lamar — 2026年 Record of the Year / “luther”で更新したヒップホップのグラミー史

  • 7月7日
  • 読了時間: 5分

更新日:6 日前

▲ Kendrick Lamar & SZA「luther」公式ビデオ。2026年グラミー賞でRecord of the Yearを受賞した楽曲。 https://www.youtube.com/watch?v=XVveECQmiAk

Kendrick Lamarが2026年のグラミー賞でSZAとの「luther」によりRecord of the Yearを受賞したことは、ヒップホップがグラミーの中心でどう評価されるかを更新する出来事だった。2025年「Not Like Us」に続く2年連続の主要部門受賞、さらに『GNX』でのBest Rap Album受賞は、彼が単なるラップスターではなく、現代音楽の構造を動かす作家であることを示している。

数字で見る Kendrick Lamar: 本名 Kendrick Lamar Duckworth。1987年6月17日、米カリフォルニア州コンプトン生まれ。Grammy.com公式アーティストページでは、2026年時点で27勝、66ノミネート。カテゴリはRapを中心に、Music Video/Film、Pop、Dance/Electronic、R&Bへ広がっている。

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1. Comptonから始まる物語

Kendrick Lamarの作品を語るとき、地名としてのComptonは単なる出身地ではない。暴力、貧困、家族、信仰、街の誇りが、彼のリリックの中で何度も語り直される。2012年の『good kid, m.A.A.d city』は、その街を映画的な視点で描いた作品として、ラップアルバムでありながら現代文学のように受け止められた。グラミーでは同作がAlbum of the Yearを含む複数部門にノミネートされ、彼が早くから「アルバム全体で物語を組み立てる作家」として評価されていたことがわかる。

その後の『To Pimp a Butterfly』はジャズ、ファンク、ソウル、スポークンワードを取り込み、黒人アメリカの怒りと希望をアルバム単位で提示した。『DAMN.』ではより鋭く凝縮された楽曲設計により、ヒップホップ作品として初めてピューリッツァー賞音楽部門を受賞する。Kendrickのキャリアは、ラップが社会の記録であり、個人の祈りであり、同時に高度な作曲表現であることを証明してきた歴史でもある。

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2. 2025年「Not Like Us」から2026年「luther」へ

2025年のグラミー賞で「Not Like Us」はRecord of the Year、Song of the Year、Best Rap Performance、Best Rap Song、Best Music Videoを獲得した。ディス曲としての文脈が強く語られがちな一方、あの受賞はWest Coastのリズム、地域性、群衆性、言葉の瞬発力がメインストリームの中心に置かれた出来事だった。Kendrickは授賞式でLos Angeles周辺のコミュニティへの敬意を語り、個人の勝利を地域の声へ戻した。

その翌年、「luther」はまったく違う角度から評価された。SZAとのデュエットであるこの曲は、鋭い対決のエネルギーではなく、柔らかいメロディ、R&Bの記憶、関係性への願いで構成されている。Record of the Yearは楽曲の録音、パフォーマンス、プロダクション全体を評価する部門だ。そこに「luther」が選ばれたことは、Kendrickの表現が攻撃性だけでなく、親密さと美しさの領域でもグラミーの中心に届いたことを意味する。

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3. 『GNX』とヒップホップの更新

Grammy.comの公式ページでは、2026年のKendrickは「luther」でRecord of the YearとBest Melodic Rap Performanceを受賞し、『GNX』でBest Rap Albumを受賞している。さらに「tv off」はBest Rap Songを獲得し、Clipseとの「Chains & Whips」でもBest Rap Performanceを受賞した。1人のアーティストが、ソロ、デュオ、アルバム、ラップソング、ラップパフォーマンスを横断して評価されたことになる。

『GNX』は、Kendrickが長年磨いてきた密度の高いラップと、より広いポップ/R&Bの回路を同時に動かす作品だ。SZAとの「luther」はその中心にあり、Luther VandrossとCheryl Lynnによる「If This World Were Mine」の記憶を現代のヒップホップへ接続する。つまりこの曲は、新しさだけで勝ったのではない。過去のソウル/R&Bの温度を、2020年代のラップの言語と結び直した点に強さがある。

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4. SZAとの化学反応

KendrickとSZAの関係は「All The Stars」でも大きな成果を残している。『Black Panther』のために作られた同曲は、映画音楽、アフロフューチャリズム、ポップR&Bを結びつけ、2019年グラミーでも複数部門にノミネートされた。「luther」はそこからさらに親密な方向へ進む。Kendrickの低く抑えた語りと、SZAの浮遊するボーカルが、互いに主張しすぎず、曲全体をひとつの情景へ運ぶ。

Pitchforkは「luther」のビデオ公開時、Karena Evansが監督し、pgLangの文脈で制作された映像として紹介した。映像面でも、派手な勝利宣言よりも、関係性、距離、光と影を重視した作品になっている。GAJの視点では、これはKendrickが「社会を撃つ声」から「関係を描く声」へ広がった証拠であり、グラミーがその広がりを評価した点が重要だ。

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5. 日本のリスナーにとっての入口

日本でKendrick Lamarを聴く入口としては、まず「HUMBLE.」や「Not Like Us」の強度がわかりやすい。しかし「luther」から入ると、彼の別の顔が見える。ラップの技巧だけでなく、R&Bの余白、サンプルの使い方、ボーカルとの距離感、そして言葉を詰め込みすぎない美学がある。そこから『good kid, m.A.A.d city』へ戻れば物語作家としてのKendrickが見え、『To Pimp a Butterfly』へ進めば社会と音楽史を組み替えるKendrickが見える。

2026年のRecord of the Year受賞は、ヒップホップがグラミーの主要部門で一時的に注目されたという話ではない。Kendrick Lamarという作家が、街の記憶、ラップの歴史、R&Bの伝統、映像表現、ポップスターとしての影響力をひとつの作品群に束ねている。その積み重ねが「luther」に結晶したと見るべきだ。

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6. GAJで読むべき関連アーカイブ

Beyoncé『Cowboy Carter』の記事では、ジャンルの記憶を取り戻すポップスターとしての受賞を扱った。Taylor Swiftの記事では、Album of the Yearを複数回受賞するアルバム作家としての産業設計を扱っている。さらにGAJニュースでは、2027年からの新設部門やAI時代の権利保護も追っている。Kendrick Lamarの記事は、その中で「ヒップホップが主要部門の中心に立つ意味」を記録するアーカイブになる。

関連リンク: Beyoncé — 2025年 Album of the Year https://www.brushmusic.com/post/beyonce-cowboy-carter-2025-grammy-album-of-the-year / 2027年グラミー新部門 https://www.brushmusic.com/post/gaj-news-harvey-mason-jr-2027-interview-20260704 / NO FAKES法案 https://www.brushmusic.com/post/gaj-news-no-fakes-act-senate-judiciary-20260704

出典: Grammy.com Kendrick Lamar artist page https://www.grammy.com/artists/kendrick-lamar/17949 / Pitchfork: Watch Kendrick Lamar and SZA's New “Luther” Video https://pitchfork.com/news/watch-kendrick-lamar-and-szas-new-luther-video

GAJ メンバー登録: https://www.brushmusic.com/artist/categories/gaj-members

 
 
 

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